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第32話 わからないだろ!? ①
どれぐらい時間が経っただろう?
ベッドで泣いていた智樹は、そのまま寝てしまっていた。
酷い顔…。
目、パンパンに腫れてる。
泣き腫らした顔を鏡で智樹が見ていると、ベッドに置いたままのスマホが振動する。
発信者を確認すると、
「母さんだ…」
取ろうか取らまいか悩んだ結果、智樹は母親からの電話を取った。
「もしもし、どうしたの?」
智樹はいつもと同じ声、言い方で話す。
『どうしたじゃないわよ。雅樹とケンカしたでしょ。雅樹、本当に反省してるみたいよ。許してあげたら?』
母親の言い方では、雅樹は相当落ち込み、反省しているようだが…。
いつもそうだ。
母さんはケンカの理由を俺には聞かず、すぐに雅樹の肩を持つ。
「嫌だ。雅樹は反省した方がいい」
いつもはすぐに雅樹を許す智樹だが、今回は怒っていた。
俺がどんな気持ちで雅樹の事、いつも考えてるのか?
それ、わかってんの?
彼女と歩く雅樹の姿を俺がどんな気持ちで見ているとか、ヒートの時しか抱いてくれなくて、雅樹に必要とされていない事に、俺の心がどれだけ締め付けられているのか…。
どうして雅樹意外の好きでもない人に、俺は抱かれているのか?
雅樹、お前にわかるのかよ‼︎
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