智樹が怯えていると、 「大丈夫？」 頭の上から男の声がした。 ！！！！ 不審者だ‼︎ ガバッと智樹が頭を上げ、逃げる体制に入ったが、そこにいたのは智樹が通っている高校の制服を着た男子生徒だった。 「きみ、大丈夫？」 その男子生徒が智樹の顔を覗き込んだ時、制服のネクタイの色が見えた。 あ、緑だ。 ということは、同じ学年。 それにこいつ、少し顔が雅樹に似てる。 …こんな奴、同じ学年にいたっけ…？ 智樹が首を傾げていると、 「本当に大丈夫？」 無言で首を傾げ男子生徒を見る智樹のことを、本気で心配しているようだ。 「あ、身体的には怪我してないから大丈夫」 智樹がそういうと、 「でもなんだか困ってそう……」 男子生徒が心配そうに智樹を見る。