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第5話 7月5日 ①
7月5日。
今年のこの日が俺は大嫌いだ。
そして、これから先、この日が好きになることはないだろう。
絶対にない‼︎
なくなってしまえばいい‼︎
7月5日なんて‼︎
7月5日なんて…
7月5日なんて……
俺の誕生日なんて、
大嫌いだ!!!!
「生クリームってさ、暑いと溶けるの早いんだぞ」
テストが午前中で終わり、日差しが一番きつい中、下校させられている晶と薫は、先ほど買ったばかりのアイスを食べながら、バスのベンチに座り、帰りのバスを待っていた。
「知ってる。だから家から一番近いケーキ屋さんで、晶のバースデーケーキ頼んでる」
「そのケーキ……ホールなんだろ?」
食べれるのか?
そんなに…
俺、甘党じゃないから、2人でホールひとつは……
でも残すのは、ここまでしてくれている薫に悪い。
だから、今日は昼飯抜く。
本当はチョコミント味のアイスが食べたかったけど、甘い物はケーキにとっておきたいから、
今日は甘さ控えめ、練乳なしのカップのかき氷。
それにしても、今朝から薫のニヤニヤが止まらない。
あまりにニヤニヤしてるから、先生に
『長谷部、お前テストが楽しみなのか?』と、言われてたほどだ。
「今日さ、俺、本当に楽しみなんだ」
本当に嬉しそうに微笑みながら、薫が晶を見た。
「それ、何回も聞いた」
晶は薫の言葉を聞いて苦笑いしたが、本当は自分以上に自分の誕生日を楽しみにしてくれている事が、嬉しかった。
「実はサプライズもあるんだよー」
言いたくてウズウズした薫が、とうとう言ってしまった。
「サプライズって、秘密にするからサプライズで、サプライズあるってバラしたら意味ないじゃん」
「あ‼︎‼︎」
しまったという顔を薫がしたが、もう遅い。
「別に…内容言ってないから…大丈夫‼︎」
慌てて言い訳する薫の姿が、晶にはなんとも可愛く見えてしまう。
昔から薫はそうだ。
秘密ごとは苦手。
特に楽しい秘密は。
どうしても言って、みんなで一緒に喜びたいみたいだ。
どうやったら、そんなに可愛らしく、スクスク育つんだ?
薫、お前はそのまま、まっすぐ育てよ。
同い年なのに、晶は薫のことになると、父親か兄目線で見てしまう。
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