44 / 118
第44話 蓮と松野の出会い
しばらくして、蓮が真司と松野のところへやってきた。
どこかどう見ても男性で、しかも長身のイケメンだ。
蓮をみた松野は驚き目を見開く。
「真司…これ…」
「わざわざありがとう」
蓮は真司に合鍵を渡す。
松野は驚きのあまり言葉を失う。
蓮はそんな松野の様子を見て、気まずそうにしていた。
「じゃあ、俺はこれで…」
蓮はさっとその場を立ち去ろうとした時、
「蓮、もし帰りが遅くなりそうだったら連絡して」
真司が蓮に声をかけると、蓮は嬉しそうに振り返り微笑んだ。
「松野…びっくりしただろう?俺、蓮と…同性と付き合ってる…」
正直、松野の反応が怖い…
怖いけど、誰かに本当のことが言えて、何故だかホッとしている。
真司はそんな不思議な感覚になっていた。
「先輩…男の人と…付き合ってるんですか?」
松野は真司の方を見ずに、ずっと蓮の背中をみつめたままだ。
「ああ…」
「でも先輩、前付き合ってた人って女性でしたよね…」
松野は蓮の背中から目を逸らさない。
「蓮と付き合うまで付き合ってきた人は女性だった…だから、同性と付き合うのは今回が初めてで…」
真司はこちらを全くみない松野に語りかける。
「……俺は何してたんだろう…」
「え?」
松野の呟きの意味がわからず、真司が聞き返すと、
「先輩、これ持っててください!」
「⁉︎松野⁉︎」
驚いた真司をおいて、松野はぐっと自分の鞄を真司に押し付けると、蓮の方へ走って行った。
松野は前を歩く蓮の方に走っていくと、蓮に何か話し、真司の方へ戻ってきた。
「先輩。俺、諦めるのやめます!」
松野はそれだけ真司に宣言すると店の中に入って行った。
ともだちにシェアしよう!