1 / 194

第1話 伊吹と蒼 ①

生まれ持ってある、有利な事を天性というなら、 『イケメン』だって天性だ。 いーなー。 イケメン…… それだけで、爽やかで優しそうって言われるじゃん。 それに、いい香りなんてしてたらさ、女の子だけじゃなくて、男からも人気者になれるし… 俺もなりたかった、あんなイケメンに。 俺からしたら、あんなイケメン、雲の上の人………… だと思ってた。 そして、その人とこれから先もずっと一緒に過ごせると、心のどこかで思っていた……… 「も〜、そこのイケメン‼︎ちょっとは手加減するって事を知らないの?」 「伊吹、口が悪い」 「そりゃ口も悪くなるよ‼︎ゲーム教えてって言うから教えたら、たかが一時間で、どうして俺より上手くなってんの⁉︎」 「俺、器用だし、飲み込み早いから」 ベットの上で、伊吹を後ろから抱きしめるように座っているイケメンは、伊吹の肩にキスをする。 「可愛いよ。伊吹」 頬にキスをすると伊吹の顔は、ぼっと火がついたように赤くなる。 「か…可愛いって…言わないでよ……」 蒼の方は向かないが、伊吹の耳や首の後ろまで真っ赤だ。 「イケメンじゃなくて、名前で読んでよ…」 伊吹の耳元で囁く…。 「……」 「ねぇ、早く…」 もう一度囁く。 こんなのずるい… そんなことされたら、言わないって言えないじゃないか… 「蒼…」 「よくできました…」 蒼の艶のある声色で伊吹は囁かれ、腰から砕けそうだ。   「その声ずるい…」 ぽろっと伊吹の本音が口からでてしまう。 しまった‼︎ 伊吹が後悔したのも、今やもう遅し…… 「どの声?」 「っつ…‼︎」 蒼は伊吹の耳を甘噛みし、熱い吐息をかけながら、また囁いた。 あ〜、もう、ダメだ…… 頭が回らない。 「俺、、耳、弱いのに…」 「知ってる」 蒼が耳をぺろりと舐めると伊吹の全身の力は抜け、 蒼に体勢を預ける形になった。 「伊吹…シたい…」 さっきまで耳元で囁いていた蒼だったが、今度はしっかりと伊吹の目を見た。 俺を射抜くような瞳。 俺しか知らない蒼の瞳。 その瞳に吸い込まれそうだ。 「俺も…」 頬を赤らめながら、伊吹も蒼を見つめ返した。 「でも、母さん、帰ってくるかも…」 伊吹が時計を確認すると、母親が買い物に出かけて1時間は経っていた。 『買い物に行くっていってくるけど、帰りはそんなに遅くはならない』って言ってたし… 「それは、大丈夫」 蒼が言い切る。 「どうして?」 「さっき、伊吹の携帯におばさんからメールがあって、今おばさん俺ん家にいるんだって」 蒼はグイッと携帯の画面を一気に見せた。 「蒼、人の携帯、勝手に見ないでよ」 伊吹ご少し怒ると、 「見られてまずいものでもあるの?」 蒼が言い返す。 「それは……ないけど…」 「ロックのパスワード、俺達、一緒だしな」 蒼は嬉しそうに笑った。 蒼に手渡された携帯をよく見ると、母親からメールで 『蒼くんのママとお茶してます。そのままご飯も食べて帰るので、晩ご飯は2人で食べに行ってね』 と、入っていた。 父さんが出張でいない事をいい事に、晩ご飯の手の抜き方が半端ない。 確かに蒼のママさんと仲がいいのは嬉しいけど、息子よりもママさんを優先するなんて…… 「な、時間はたっぷりある。だから、伊吹、シよ」 蒼がゆっくりと伊吹をベットに押し倒すと、首筋をつーっと舐めた。

ともだちにシェアしよう!