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第72話 ーーどうしても… ② 蒼sideーー

「蒼、それってどう言う意味⁉︎」 伊吹は怒りに任せて怒鳴る。 「ごめん…。でも行かないと…。もしかしたら今日の帰りは遅くなるかもしれないから、その時は晩ご飯、先、食べてて」 柚を病院に連れて行ってから、その後のことは予想できない。 「え⁉︎そんなに遅くなるの⁉︎」 「遅くならないようにしたいけど、わからない」 蒼は伊吹と話しながらも、もしもの時ように用意していた、オメガ専用のヒート抑制剤を鞄に入れ、出かける準備を急いだ。 「どこに行くの⁉︎」 「……言えない……」 「誰と行くの⁉︎」 「ごめん。それも言えない…」 「どうして、なにも言えないんだよ‼︎」 不安が一気に溢れ出したようで、伊吹の目から涙が溢れる。 「‼︎…ごめん、伊吹…。どうしても、言えないんだ…」 そんな悲しい顔させたくない。 させたくないけど、これは言えない。 「今までなんでも話してくれたのに、どうして今日は教えられないの⁉︎」 「ごめん…」 「蒼、最近、俺によそよそしいよ…」 「ごめん…。いつか言える日がくるまで、まって…」 蒼が苦しそうに、伊吹を見た。

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