「柚‼︎柚‼︎返事をしてくれ‼︎」 トイレの前を行き交う人が、蒼を変な目で見ていたが、そんな事など気にする様子もなく蒼は携帯を鳴らしドアを叩き続けながら、ラット抑制剤を事前に飲んだ。 「柚‼︎」 蒼が叫んだ時、 カチャ… トイレの鍵が開けられ、中で何かが倒れる音がした。 「柚‼︎」 蒼は急いで中に入り鍵を閉めると、そこにはドアの近くで倒れている柚の姿があり… 「っつ‼︎」 抑制剤を飲んでいるのにも関わらず、フェロモンの匂いが蒼を襲う。 っクソ… 先ほど飲んだばかりなのに、蒼はすぐさまピルケースから抑制剤をまた手に出すと、それを飲み干した。 走ってきたからか、ヒートに当てられたかわからなが、蒼の心拍は早くなっている。 ただそれどころではないことは、蒼が一番わかっていた。