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Ⅸ 宇宙一の誓い⑭
「なぜ、お前が地球にいる?」
「報告が遅れ、申し訳ございません」
「お前は本国の筈だろう」
一週間前に通信で喋った。
本国から地球まで一週間で来られる訳が……
そもそも、どうして各務 隆哉がエルドバードなのだ。
「総帥のお側にいたいからです」
「各務になってたのか」
「はい。あなたが心配で……と言えば怒るでしょう」
「もう怒っている!」
「はい」
銀髪の男は涼やかに微笑んだ。
「各務に変化して、あなたがこの星のどこにいらっしゃるのか探しておりましたが、まさかこんなに近くにいるとは」
つまり~~
「あの夜は俺だと知らなかったから俺を振ったと」
「『佐々城瑠威』様が、総帥であると知ってからは『瑠威』様を愛していますよ」
口角を上げたお前が、悪魔のように見える。
つまりは俺も『各務 隆哉』の才能と本質、性格までも好きなっていた事実は否めなくて、それは全て目の前の男を誰よりも深く思っているという事実なのだ。
「知らん!もう知らん!勝手にしろ!」
「それはつまり、あなたを私の自由にしていいという事ですね」
「そうじゃなっ」
「勝手にします」
チュッ♥
「あなたの左手の薬指に、宇宙一のリングをはめて差し上げます」
カアアァァァー
頬が熱を帯びる。俺の顔、耳まで真っ赤だ。たぶん……
艶かしい眼差しが見上げている。
俺を見つめている。
「幸せにいたします」
誓いを立てるお前は誰よりも美しくて、俺は目を逸らせない。
「必ず、あなたをこの宇宙の誰よりも幸せにいたします」
凛とした声は強く激しく鼓動を穿った。
「どうか私の伴侶になってください」
最愛のルイ様……
《おしまい》
「わわっ!」
「急に抱きついて……私と今すぐ結婚したくなりましたか?」
「そうじゃない」
「では早速式場を押さえましょう」
「だから、そうではない!」
話を聞け、参謀。
「お前の姿、地球の者に見られるとまずい」
「ご心配なく。例の薬をこのフロア全員に飲ませていますので問題ありません」
「………」
さすが参謀。抜かりがないな。
「しかし」
「希釈していますので一時間もすれば正気を取り戻します。あと本国の者にも何人か飲ませて参りました。こちらは原液です」
「………えっ」
それって~~
「恋路の邪魔をして馬に蹴られて死ななかっただけマシだと思ってください」
背筋にゾクリと何かが走ったのは……気のせいじゃない。
「本国を無断出国した事が明るみになれば、私は軍事法廷行きです」
ですので総帥……
「この星を早く制圧してしまいましょう」
確信犯の笑みさえ美麗だ。
「この星をルイ様の物にして、本国より独立してしまえば問題は全てクリアです」
「なるほど……悪くないな」
征服の目的は当初と変わったが。
「我らの愛の巣は地球だ」
「御意」
総帥の名において誓おう。
「満開の桜の花の下で幸せになろう」
「はい。それでは桜の見える教会をまずは制圧いたしましょう」
チュッ
「誓いのキスの予行演習です。……おや、ルイ様。顔が真っ赤」
可愛い……チュッ♥
《ほんとにおしまい♪》
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