1 / 1

春川という男

大学生になり小遣い稼ぎとして働いている風俗店「エンペラー」。 そこで鳳御門は春川友樹という客に出会った。 「今日もお願いしますね、御門さん」 ★★★★★ 出会いは一ヶ月前に遡る。 「お疲れ様っす」 「お疲れ〜今日は新しいお客さんから予約入ってるよ御門」 パソコンで予約している客の名前を確認する。 「春川友樹、以外は書いてない。希望プレイ無しって一番困るんだよな」 「でも、御門を指名してきたってことは気にしなくていいんじゃないかな」 先輩のルイは次のお客さんが待つ部屋へ持っていく道具を用意している。自分のことを棚に上げて、何故こんなしっかりしてそうな人がここで働いているのか気になるが、指導役で良かったと思う。 「失礼します。俺を指名してくれた春川さんですか?」 「はい、春川で合ってますよ」 ひょろっとした奴だと思っていたが、少し髪の長い細身の男性だった。中性的で、この店に入りそうな感じがしないタイプだから人って分からないなと思ってしまう。 ただ、待っている間読んでいた本は官能小説だったが。 「プレイはアンケートに書いていなかったんでお任せでいいですか」 「はい。それで私は何と貴方を」 「ご主人様だろ」 「そうですね、失礼しました。ご主人様」 亀甲縛りをしていてここまでワクワクしている客は初めてだ。春川は、上手ですねとか、もっと強くしてもいいですよとかまで言ってくる。初めてのことに目をキラキラさせる子どものような。 「おい、おい、余裕だな春川」 「そうですね、すみません」 「生意気な奴。それなら口で奉仕しろ」 春川は澄ました顔でパンツを下げ、竿を舐めてくる。正直御門はされるのが嫌いだった。だが、今まで担当してきた客は好きらしく、命令されれば必死にしゃぶりつく。それをいつもなら冷めた目で見て、客は自分のも触り始める。そして、勝手に触るなと咎めれば、謝って更に罵倒されることを求める。 だが、春川は違った。怒られるために手を抜いたりしなかった。弱いところを攻めてこちらの様子を伺い、試しているような節がある。 「こいつ」 ★★★★★ 春川が毎週金曜日に予約してくると分かっているため、溜息をつく。 「どうよ、春川さんは」 「分からないですね、何考えてるか」 「へぇ、御門が手こずる相手か」 「俺様系とか乱暴系とか、視姦とか色々してるのに、俺が困ってる感じを楽しんでるというか」 「それは厄介な。その人、SでもあってMでもあるんだろう」 「先輩ならどうします?」 ルイが少し考えてから答える。 「断るかな」 「え、断っていいんですか」 「オーナーに事情話して手に負えないからよそでお願いしますって言うよ。前にチラッと見たけど深入りしない方がいい」 そうは言ってもここで引くのは癪だし、ネットで調べて次こそは澄ました顔を惚けさせてやると息巻いていた。 ★★★★★ ある日、仕事が終わって自宅に帰る途中春川を見かけた。足元には縋り付いている若い男がいる。女子にモテそうな男が、あの春川に縋るなんて何があったのか気になってしまう。冷めた目をした横顔は、こちらに気付くといつもの顔に戻った。 「御門くん」 こんな時に呼ぶのかと思ったが無視は出来ない。何があったのか尋ねると、すんなり教えてくれた。 「エンペラーに行く前に入って指名した男だよ。乗り換えたから泣き落としだよ」 「そうなんすか」 春川が助けてほしいといった表情で腕を掴む。あの春川から頼られるなんてと少し高揚する。 「店に来れなくてもいい。だけど、ぐっ」 「ストーカー野郎、さっさと離れな」 春川の足から引き離すと、手をとり急いでその場を離れた。手には春川から伝わる熱を感じられる。 「お前も引き返せなくなるぞ!」 その時は負け犬の遠吠えだと気にしておらず、春川からお礼として茶を貰う筈が、反対にバージンを頂かれてしまったのだった。 ★★★★★ 「御門くん、気持ちいい?」 「春川さん、もうっ」 「耐えられないなんて、俺様キャラでもう仕事出来ないね。イキたくないって言ったから栓したのに」 前を紐で括られ、後ろの穴では極太の玩具が暴れ回って、出したいのに出来なくて苦しい。 「御門くんは攻めるより虐められたいんだよね。初めて見た時からこの子はMだなって」 胸に爪を立てられ、中に押し込むようにグリグリされる。 「お願い、春川、んあっ」 「ちゃんとお願いしてよ」 「お願い、んっ、します、春川さん。奥を、春川さんので突いて、っ、下さいっ!」 春川は玩具を抜くと、御門を起こし股を広げさせる。 「今度は止めないよ」 「はい、春川さん、俺のナカに、たくさん、出して」 「御門くんは可愛いね」 額にキスされ、春川のものでナカが圧迫される感覚に幸せを感じてしまう身体になってしまった。

ともだちにシェアしよう!