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第6話(スティーブ)
僕は息を吸うように嘘を付ける。
僕は超人的なパワーを持った能力者というだけじゃない。
祖母でWIA元長官のルビーからスパイとしての諜報力を知らないうちから英才教育されていた。
ただ、今は嘘をつきたく無い人がいる。
マイクにだけは嘘をつきたくない。
だから来週の任務を考えると少し憂鬱だ。
「スティーブどうかした?」
バスタブの泡に包まれたマイクが心配そうに肩に触れた。
「あぁ、ごめん。ちょっと仕事の事を考えてた」
「俺には話せないこと?」
「機密事項なんだ」
この言葉は便利だ。言わなくて済むから、嘘を付かなくて済む。
「そっか」
「すまない」
ただ、自分自身はマイクへの罪悪感で心が真っ黒になる。
「謝らないでスティーブ」
マイクがそっと唇が触れるだけのキスをした。
「愛してるマイク」
世界で唯一。
「俺も」
失いたくない人。
君を失ったら、僕は、、、
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