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2月2日月曜日

「ちょっと待てよ~! なんで、この土日なんだ!?」  大介が大きな口をへの字に歪める。 「毎年恒例じゃん」   部室のホワイトボードに予定を書いた後、榮はにっこりと微笑んだ。 「だけどさあ……今年はお前が決める権限有ったんだろ? 榮だって、約束だとか用事とかあんだろ」 「別に僕は……」  榮の顔色が少し曇る。けれど大介はお構いなしで。 「ほかの奴らだって嫌がんだろーが」  頬杖を付き、榮を見つめる大介の表情は明らかにふて腐れている。 「他の奴らって、僕と大ちゃんの他は吉岡と有賀と大成だけだろ。皆にはもう言ってあるよ。何にも文句言ってなかったよ」 「あいつ等、榮には弱えーから」  舌打ちと共に吐き出された言葉に、榮はまた瞳を曇らせた。 「そうだよ。僕にきつくアタるのは、大ちゃんだけだよ……」  マーカーのキャップをカチリとしめながら、榮は弱々しく呟いた。 「大ちゃんは、何か用事あんの?」  榮の一言にビクリと肩を揺らした大介は、途端に顔を伏せる。 「有るんだったら、日変えるから。僕に言ってよ。ちゃんとした用事を説明してくれたら、皆にも言えるし」 「何にもねーよ! わーーかったよ!」  暫し沈黙の間、息を飲み、大介の返事を待っていた榮を残し、大きなドアの音を立てて、大介は同好会の部室を飛び出した。

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