12 / 64

イライラ-4

「……返事が来ない」 いつもはすぐ返事来るのに。 体調でも崩したか? 「あれ?まだ来てない?」 「どうしたんだ?」 「千石さん、おはようございます。矢嶋がまだ来てないなって思って」 「矢嶋なら具合悪くて今日は休むてさ」 「そうですか」 あの日。 あいつを抱いた日。 ちょっと無茶させたか。 「矢嶋の穴埋めは俺がしますから」 定時で帰るため。 今日すすめる仕事を急いでこなした。 「よし!終わった」 「いたいた。辻元ー!今日の食事会俺が行くからお前は矢嶋の見舞いに行ってやれよ」 え? 食事会。 やばっすっかり忘れてた。 でも。 助かった。 そういや。 湊の奴ひとり暮らしだっけ? 「住所はっと」 見舞いに行く言ったらあっさり教えてくれたな。 そんな軽々と教えるなよ。 会社からバスを乗り継いで30分。 このマンションか。 矢嶋、矢嶋。 ここか。 ピンポーン。 「……寝てるのか?」 ドアに手をした時。 「おいおい、湊ぉー。不用心すぎだろう!?」 鍵かけないで寝るってどんだけだよ! 仕方のない奴。 「湊?」 寝てるのか? そして。 寝室らしき部屋で湊は寝ていた。 「顔赤いな。熱があるんじゃないか?」 湊の額に触るとかなり熱かった。 とりあえず買い物行くか。 鍵は……。 あったあった。 悪いな借りて行くぞ。 近くのドラッグストアに買い物へ。 「冷えピタと雑炊の材料でいいか」 買い物して戻ったがまだ湊は寝ていた。 「ん……」 「お?起きたか?」 「……先輩?」 「ん?目覚めた?」 「なんで?」 「お前が具合い悪くて休むつーから心配できたんじゃん!」 「先輩、仕事は?」 もしかして。 仕事サボって来たって思われてる? 「今は夜の7時だよ!」 「あれ?今日は確か先方と食事が」 「あぁ。千石さんが変わってくれたから」 千石さんから言ってくれたし。 湊のとこに行けって。 「すみません」 「気にすんなよ!体調不良の原因は俺にもあるしな」 こいつ。 初めてなのに、無茶させちゃったからな。 「先輩のせいじゃ!」 「いいから。飯食ったか?」 「いえまだです」 「……言い方かえる。今日何か食ったか?」 しばらくの沈黙のあと。 「めまいがして何も」 「ちょっと待ってろ」 雑炊の材料買っといてよかった。 キッチンを借りて雑炊を作るか。

ともだちにシェアしよう!