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イライラ-4
「……返事が来ない」
いつもはすぐ返事来るのに。
体調でも崩したか?
「あれ?まだ来てない?」
「どうしたんだ?」
「千石さん、おはようございます。矢嶋がまだ来てないなって思って」
「矢嶋なら具合悪くて今日は休むてさ」
「そうですか」
あの日。
あいつを抱いた日。
ちょっと無茶させたか。
「矢嶋の穴埋めは俺がしますから」
定時で帰るため。
今日すすめる仕事を急いでこなした。
「よし!終わった」
「いたいた。辻元ー!今日の食事会俺が行くからお前は矢嶋の見舞いに行ってやれよ」
え?
食事会。
やばっすっかり忘れてた。
でも。
助かった。
そういや。
湊の奴ひとり暮らしだっけ?
「住所はっと」
見舞いに行く言ったらあっさり教えてくれたな。
そんな軽々と教えるなよ。
会社からバスを乗り継いで30分。
このマンションか。
矢嶋、矢嶋。
ここか。
ピンポーン。
「……寝てるのか?」
ドアに手をした時。
「おいおい、湊ぉー。不用心すぎだろう!?」
鍵かけないで寝るってどんだけだよ!
仕方のない奴。
「湊?」
寝てるのか?
そして。
寝室らしき部屋で湊は寝ていた。
「顔赤いな。熱があるんじゃないか?」
湊の額に触るとかなり熱かった。
とりあえず買い物行くか。
鍵は……。
あったあった。
悪いな借りて行くぞ。
近くのドラッグストアに買い物へ。
「冷えピタと雑炊の材料でいいか」
買い物して戻ったがまだ湊は寝ていた。
「ん……」
「お?起きたか?」
「……先輩?」
「ん?目覚めた?」
「なんで?」
「お前が具合い悪くて休むつーから心配できたんじゃん!」
「先輩、仕事は?」
もしかして。
仕事サボって来たって思われてる?
「今は夜の7時だよ!」
「あれ?今日は確か先方と食事が」
「あぁ。千石さんが変わってくれたから」
千石さんから言ってくれたし。
湊のとこに行けって。
「すみません」
「気にすんなよ!体調不良の原因は俺にもあるしな」
こいつ。
初めてなのに、無茶させちゃったからな。
「先輩のせいじゃ!」
「いいから。飯食ったか?」
「いえまだです」
「……言い方かえる。今日何か食ったか?」
しばらくの沈黙のあと。
「めまいがして何も」
「ちょっと待ってろ」
雑炊の材料買っといてよかった。
キッチンを借りて雑炊を作るか。
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