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あの時の真相-7
俺が湊への気もちに気づいたのはそれからしばらくしてから。
先輩たちが部室で話していたのを偶然聞いてしまった時。
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「なぁ、矢嶋って可愛くね?」
「お前、そっち系?」
「じゃないけどさ、あいつ、、鳴かせてみたらどうなるか見てみたくね?」
「お前も悪趣味だよなー」
なんだよ。
湊を鳴かせるって。
冗談じゃない。
誰が先輩たちになんかっ。
先輩たちは俺が聞いているとは知らずに話を続けた。
湊 は、俺が絶対守るんだ。
例え相手が先輩たちでも。
湊を傷つけたくないから。
「なぁ、航太。お前、矢嶋のこと本気で好きになってるだろう?」
「え?」
ある日。
祐樹と帰ってると急にそう言ってきた。
俺が湊を?
「矢嶋を泣かせたくないだろう?」
当たり前だ。
理由もないのに泣かせたいとか思わないだろう?
「泣くなら自分の前でて思ってるだろう?
他の奴と仲良くして欲しくないだろう?」
祐樹がいくつか例をあげていき、俺は全てそれに当てはまっていた。
…………。
………。
……。
そして。
ようやく気づいた。
俺は矢嶋を誰にも傷つけたり手放したくないくらい。
本気で好きになっていたことに。
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