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つり合わない。
俺、玉木 楓 16歳。男子校2年には好きな人がいる。
その人は椎名 律 。同じ学校に通うひとつ年上の先輩。細身だけれど背が高くて肩幅も広い。長い睫毛に薄い唇。雑誌のモデル顔負けの甘いマスク。スポーツ万能で頭が良くてなんでもできる優しい人。校内ではちょっとした人気有名人だ。
同性に恋心を抱くなんて世間一般ではタブーだし考えられないことだけれど、俺が通う高校は男子校。
だから恋人ができる同性の確率だってけっして低くはない。よってこれが俺たちにとって日常でもある。
現に同性のカップルだって学校中にわんさかいる。だけど外に出ればおかしなことだっていうのは知っている。だから告白なんてしない。
――いや、違う。
俺なんかが適う人じゃないって知っているから……。
俺は身の程を十分理解している。
だってさ、俺ってば体育は苦手じゃないけれど上手くもない、ごくごく普通の人間。あ、でも成績は結構上位。特待生になって授業料とか免除してほしくて頑張って猛勉強してるから。
でも取り柄なんてそれだけ。人より少し頭が良い程度だ。容姿だって、ごくごく平凡な日本人特有のストレートな黒髪。一重の目は――目付きが悪いってよく友達に言われる。
体型は細身だけどひょろっこいっていうか、うん。もやしみたいな……。
どんなに筋トレしても筋肉なんて付きやしない。
骨ばかりが目立つし、どんなに日焼けしようとしても全然焼けねぇの。
真っ白なまんま。
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