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オヤジなのに?

〝うほっうほっうほっ〟 「ぐぬぬぬっっっ」 〝ほんに、狭量なる御仁じゃの〟 「うるせっ」 〝我らが殿がわたくしめを遣わしたは、そなたを案じてというに……〟 「どこがだっ」  無視すればいいものを、年寄り臭い喋りのヤヘヱに言い返す自分が、アスカには情けなかった。聖霊相手に怒鳴るしか能がないと指摘されたような気もして、フードに隠す顔もむすっとなる。そこをヤヘヱに付け込まれてしまった。小心者の癖に、煌めきを大きく緩やかに揺らして、威張りたがりのジジイそのままに、厳然とした口調でアスカに話を聞かせて行く。 〝人狼の首領なるは、我らが殿と相まみえますれば、バトルと申す手合わせを求めまする、世がへんげしのちにおいては、特別調査と申す場にて睨み合うのみとなり、さすれば、こたびは珍重と申すより他ならず……〟 「ちょっ、待てよ、あんた、それって……」  アスカは驚き、話の腰を折るように言葉を繋げた。 「あの格好で?オヤジなのに?」

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