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第1話

   そもそも風紀委員会のメンバーを選挙で決めること自体がおかしいんだ。生徒会でもあるまいし。他者推薦された人が委員長になれることもおかしい。大体、生徒は顔で選んで投票している。 「そうかっかするなって。なってしまったものはしょうがないよ。」 「いいじゃん。(あおい)は立候補して副委員長になったんだから。」  風紀委員室の応接間。向かい合わせに座っている葵と目が合う。とは言っても身長差があり、向こうが見上げているような形になっているが。 「まあ、去年も風紀だったから、下手に生徒会に誘われたりするよりは楽だしね。」  葵はそう言った後、優雅に紅茶を飲む。黒髪に人形のような顔立ち、それに加え華奢な体格。大和撫子という呼び名がよく似合うと思う。 「なら、葵が委員長になればよかったんじゃい?」 「私は一番上に立つ役職なんて合わないよ。 大丈夫。委員長なんてそんな仕事ないから。 風紀委員のそれぞれの仕事を割り振るだけだよ。」 「俺だって一番上に立つような人柄ではないでしょ。」 「顔が一番上に立ちそうな顔しているじゃんか。」  結局顔か。  ここ、桜葉(さくらば)学園は完全寮制の男子高校だ。顔立ちの良い生徒は崇拝され、生徒会や風紀委員に選挙で投票され、入らされる。  他の生徒に崇拝されている俺は、自分の顔立ちが良いことは自覚せざるを得ない。去年の入学当初だって顔で風紀に入らされた。みんな曰く、風紀の顔をしているらしい。 「来年は,受験で委員会に入ることはないんだし、辛抱だよ。これから一年間よろしく圭太。」  目の前の大和撫子は優しく微笑んだ。

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