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第51話
「あれ、叶待たせた?」
『おはよ』、と杉原先輩が現れました。
結局昨晩考え込んだまま眠ってしまいました。
考えながら眠ったせいでしょうか、熟睡出来なかったみたいで私は軽い寝不足になっていました。
ですが再び眠ってしまったら、杉原先輩を待たせてしまうかもしれないと、早めに自宅の門の前で待っていました。
「お早う御座います。今日はちょっと早めに用意が出来てしまっただけです」
私はいつものように笑顔で答えたのに……先輩は見破られてしまいました。
「そんな作った笑顔されても、杉原センパイは余計にしんぱーい!」
……笑顔には自信があったのですが。
「先輩はいつから私が仮面を被っているのに気がついていたんですか?」
「いつかな、忘れちゃったな」
杉原先輩の、この『困った笑顔』を私は朝からさせてしまいました。
「だからってさ、作り笑いでも『笑顔』が見れないの、イヤかな」
そうですね、作り笑顔も笑顔のうちですから。
そして先輩は笑顔で
「曇りの日だから朝からキスは出来ないかな?」
なんて先輩が言うので、私は一歩横に離れて歩き出したのですが、また近づいてきて。
「こんなところでキスなんて出来ませんっ」
「分かってる、しないよ」
『ははは』と余裕で笑ってます。
先輩は何時も余裕があって羨ましいです。
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