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チラッと横の陽向を見る 今まで特定の誰かと一緒にいる事も、学校に来ては誰とも喋る事もなく毎日が過ぎていたはずなのに それが陽向のせいで一変して コイツが寄って来ると いつの間にか心地良いとも感じていて… (これが友達か…) そう思ったら、自然と顔がニヤけていた そして学校から10分足らずの駅までの道のりは普段よりあっという間で、目の前には駅があって 「あーーッ、もう着いちゃった」 と、残念がる陽向から、はいっと傘を渡される 受け取った瞬間 それが少しだけ寂しい、名残惜しいと感じてしまった自分自身に内心焦った 「陰山、サンキュー!また明日」 「あ、あぁ…」 手を振りまくる陽向が駅の構内に向け、歩き出した、のに… 立ち止まったと思いきやクルッと方向を変え、また俺の方に向かって来る 「なんだ?どうした?」 「うんッ、陰山に忘れ物しちゃって」 「いや、ノートはさっき貰ったが…」 また傘の中に入ってきた陽向が傘の柄を掴み、傘が傾いた 「おい、どうー…」 満面の笑顔に気を取られていたのもある 肩に手を置かれ 陽向が少し顔を斜めにし、ゆっくりと近づいてきて… 「え?」 「今のは周りに見られてないからオッケーね!じゃあ陰山また明日なッ」 笑顔はさっきのまんま いや、さっきまでの笑顔よりももっと嬉しそうで、陽向の頬には赤みが差して… 「よっしゃーーーッ」 馬鹿デカイ声を上げ、ジャンプする陽向の背中が駅構内に見えなくなるまで、今の出来事がフラッシュバックする すでに2度されているから覚えてしまった 唇に触れた柔らかい感触 お互いの鼻が擦れる感覚 「ーーーっ、、」 3度目 そう思った途端、体温が上昇していく 陽向以上に顔が熱くなっていくのが、止められなかった (忘れ物ってせ、せせ、接吻の事かッ) いくら傘が壁の役割を果たしてたとしても、ここは人が往来する場所であって 人前の意味… (まったく理解してないじゃないかアイツはッ) その後ぶっ倒れる事は無かったが、駅員さんに 『君、大丈夫かい?30分以上ずっとここにいるけど…』 そう声を掛けられるまで、俺の体は固まったままになっていたらしい ■■■■■■■■■■■ 実は帰り道ずっとソワソワしていた陽向くん 何気に相合い傘でしたからね〜

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