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偽りの窓の外 1

まだ梅雨明けもしていないというのに、すっかり夏空の窓の外では蝉が五月蝿く鳴いていた。 クーラーも満足に効かない古びたアパートの一室で、汚い天井を見上げながら体を揺さぶられる。 ギシギシとベッドが軋む音に、男からは聞こえ得ないはずの水音と肌がぶつかる音に合わせて俺の情けない喘ぎ声が混じる。 汗が滲み肌同士がひっついて気持ち悪いが物理的な刺激は快感を生んだ。 「あっ、ハッ……あぁっ、んぐ……」 「アキト、お前すげーいいわ」 そう男が声を漏らすといきなり唇を合わせようとしてきた。 「……キス、はしない……ンッ…」 「あー、そうだった。そんな約束だったっけな」 こんなやつとキスなんかしない。 セックスはするがキスはしないというのが条件だった。 すると男の腰つきがまた速まり、同時にモノを扱かれれば快楽が溜まっていく。 「あっ、あっ、あぁ……」 快感が高まってくると目を閉じて想像した。 この世で唯一愛してやまない男の快楽に歪む顔を。

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