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いい双子の日
「良い双子の日だって! ヨウくん!!」
うきうきるんるんと期待の眼差し(前髪で隠れているが)をこちらに向ける兄のセイシュに、俺は溜息をついた。
「んなもん二月五日だって双子の日だろうが。いい○○に影響されすぎなんだよ」
「ボクたち世界でいっちばんの双子だよ? 弟は悪の狩人で、兄は愛の狩人! 最高コンビだよ!!」
上手くねえよ、と俺は額を小突いた。
「それに、俺たちは双子の兄弟じゃねえだろ」
「へ?」
“兄”の不安な陰がかかった表情は、そそる。
「どういうこと!? ボク達、ほんとはボク達兄弟じゃないの!?」
ああ、お前はそういう反応をするよな。
本当なら、本当ならば──。
「ねえ、ヨウく──」
セイシュの不安な感情を喰らうように、唇を合わせる。感情だけじゃない。こいつの全てを喰らうように、熱い欲望で兄の口内を貪る。
「ふぁ……」
腰砕けになったセイシュを支えてやった。
「な、に……」
状況を把握できてないようなので、状況を説明してやる。
「──まあ、兄弟同士でこういうことしねえんだわな」
「ふうん」
でも、と馬鹿みたいににぱあと笑ってセイシュは反論する。
「ボクは、ヨウシュと兄弟で良かったと思ってるよ!」
その時の俺は、どんな間抜け面を晒していたのだろう。
まったく。馬鹿な兄だよ。本当に。
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