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チェインジング・ダーリン26

「でも皆んな、本当にすごかったわね! 劉さんの車の無線でずっとやり取りを聞いていたんだけど、最後の方の狙撃部隊への指示なんかすごく切迫してて心臓が飛び出そうになっちゃったわ! でもこうして無事な姿を見て……さっきまでのことを振り返ったら……なんだかヒーローもののアクション映画でも観ているような気分になっちゃった。本当にカッコ良かったわ、あなたたち!」  里恵子にベタ褒めにされて、男たちは苦笑ながらも悪い気はしないのか互いに肘で突き合ったりしている。特に紫月と冰はこういった任務に携わるのが初めてだったせいもあってか、照れ臭そうに頬を染めながらも成し遂げた満足感でいっぱいというようにはしゃぎ合っていた。 「里恵子の言う通りだ。皆んな本当によくやってくれた。俺と氷川はまあ当然として、紫月も冰も、それに森崎にも本当に助けられた。お前らの活躍なくしてはこんなにベストな形で解決することはできなかっただろう」  鐘崎がそう言えば、周も同感だとうなずいた。 「カネと一緒に冰がワゴン車に乗って来たのを見た時は驚いたが、本当によくやってくれた」 「だよなぁ! 氷川ったらさ、冰君を見つけた瞬間に馬力最高潮ってな感じだったもんな! もうさ、あの場の全員ぶっ潰す! ってな勢いで、俺もいい塩梅にケツ叩かれて波に乗れたって感じだったわ」  紫月にからかわれて、周がバツの悪そうにタジタジと頭を掻いている。 「まあ仕方ねえ。冰は氷川にとって、てめえの命以上に大事な存在だろうからな。お前ら二人がバイクでこっちに向かって来てくれた時の迫力はハンパなかったわ。それに何と言っても射撃の腕だ。普段から頻繁にブッ放してるってわけじゃねえのに、寸分違わず犯人たちの銃だけを狙い撃つんだからな。正直なところあの瞬間には鳥肌が立つ思いだったぜ」  鐘崎にまでそんな褒められ方をして、ますます参ったというように頭を抱えた周であった。 「まあとにかく無事に片付いてよかった。とんだ休日になっちまったが、まだ陽がある内に片付いてやれやれだな。少し遅いがこれから昼メシでも食いに行くか?」 「そうだな。尽力してくれた皆を労いがてら、ウチの庭でバーベキューってのはどうだ?」  鐘崎の提案に皆は大喜びだ。どこかホテルのレストランなどで豪華にフルコースもオツだが、こんな騒ぎのあった直後だ。仲間内だけで和気藹々とする方が気が楽というものである。 「臨海倉庫の方に出向いてくれた連中の方でも無事に略奪犯を押さえてくれたというし、オールミッションクリアだ。良ければ森崎と里恵子も一緒にどうだ?」  彼らは内覧会の後にツーリングに行く予定だったらしいが、鐘崎からの誘いを受けて是非にと感激の面持ちで即快諾に至った。 「よし、じゃあ撤収だ。皆、ご苦労だった」 「バイクはひとまず森崎っちと里恵子ママに返すとして、帰りはどういうメンツで乗ってくんだ?」  紫月がニヤニヤとしながら訊くと、周がすかさずそれに答えてみせた。

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