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謀反6

「あのファミリーは何かにつけて甘過ぎる! ボスの周隼もそうだが、長男の周風なんぞはそれに輪を掛けた甘ちゃんぶりだ! 風のヤツに比べりゃ弟の方はまだ気概がある方だと思っていたが、所詮は甘ちゃんの血筋だったってことか……。俺だったら殴る蹴る程度で許すなんざ理解できんな。とっくにあの世へ送ってるだろうぜ!」 「確かにそうですね。まあファミリーのそういった温情っていうか、人柄に惹かれて寄ってくるヤツも後を絶たねえのは事実ですが……」 「はん! マフィアは仲良しごっこじゃねえんだ! だから俺は自分で組織を打ち立てて、本物のマフィアってのはどういうもんかってのを分からせてやりてえわけよ!」  それよりも、その周焔の連れ合いに手を出したという元社員の話が鉱山での原石略奪にどう関係があるというのだと羅が詰め寄る。舎弟の方はちょっとした悪知恵があるんですがと言って、ニヤッと笑ってみせた。 「どうです? その元社員ってのを仲間に引き入れて、最終的に犯人に仕立て上げるって手もあると思うんですが」  拉致と略奪は全てこちらで行うとして、香港のファミリーが現地に駆け付ける頃にはその元社員だけを置き去りにしてしまえば、犯行は彼一人になすり付けられるのではというのだ。 「聞くところによるとそいつは闇カジノでの一件に失敗した後も、わざわざ単身で東京に出向いて周焔の連れ合いを殺そうとしたんだとか。たまたま運悪く焔が一緒だった為にそれも失敗に終わったそうですが、警察沙汰になって実の親からも縁切りを食らったらしいですぜ。焔を嵌める為に力を貸してやると言えば案外簡単に話に乗ってくると思うんですがね」 「ふむ……」  羅はしばし考え込んでいたが、悪くはない案だと言って身を乗り出した。 「確かに執拗な野郎のようだな。周焔への復讐も望んでいるようだし、ボスも三度目ともなればそいつが犯人だってことで納得されるだろう。上手く鉱山に潜り込めさえすれば後は何とでもなる。積荷を終えたら周焔と一緒にその野郎を置き去りにしてくればいいか……。問題は周焔を拉致した後にどうやって言うことを聞かせるか――だが」 「そうですね。噂によると次男坊の焔ってのは兄貴の周風よりも野生味のあるお人らしいですし」 「ああ……。兄貴の方は純粋な温室育ちだが、弟は妾腹ってこともあってそれなりの苦労はしてきたんだろう。二十歳そこそこで香港を離れて、日本の東京で起業――、大成功していると聞くしな」  能力も気概も持ち合わせている精鋭なのは間違いない。そんな男だ。仮に暴力で脅したとて、素直に従うとは思えない。

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