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カウント・ダウンを南国バカンスで6
「白龍……あ……りがと、その……」
「すまなかった。怖い思いをさせちまったな」
「う、ううん……。俺、その……ああいうの初めてで……ちょっとびっくりした」
周は冰の頭ごと引き寄せると、すっぽりと懐へと抱き包んだ。
「あの……俺、さっきの白龍の真似してハニー……じゃなかった。ダーリンがいるからって言ったんだけど、通じなくてさ」
やっぱり場慣れしてないからダメダメだねと眉を八の字に寄せた笑顔を見せる冰に、思ったよりもショックを受けていないのだろうことが窺えてホッと胸を撫で下ろす。
「真田さんと紫月さんもありがとうございます。俺ももっと精進しなきゃ」
「いえいえ、ご無事で何よりです。しかしこの真田も捨てたものではございませんな。まさか冰さんのダーリンと間違えられるとは」
その言葉にいち早く反応したのは周だ。
「――ダーリンと間違えられただと?」
なんとも言いようのない表情で眉根を寄せてみせる。
「そうなんですよ、坊っちゃま! 聞いてくださいまし! あの方たちは私を冰さんのいい人だと思われたようでございますよ。焦りましたが、今になって考えると褒め言葉と受け取っておくのも悪くないかと」
少々自慢げに胸を張った真田に、ドッと笑いが巻き起こる。結果として何事もなかったことだし、周もやれやれと苦笑させられるのだった。
「まあ、側を離れた俺が悪い。なんといっても喫煙スペースが限られているからな。ここで吸えりゃ万々歳なんだがな」
せっかくクリスマスのプレゼントで貰ったシガーケースを持参して来たというのに、公の場で自慢できないのが残念だと肩を落とす。
「真田も一之宮もすまなかったな。お前たちが居てくれたお陰で助かった」
周は詫びも兼ねて明日か明後日にでも買い物三昧と洒落込むかと言ってニヒルに笑った。
その後、源次郎と真田に荷物番を任せて、若い者たちはしばしプールで楽しんだ。周や鐘崎はもちろんのこと、李や劉、鄧もいわゆるイイ男といえる。紫月もまた然りだ。冰だけが若干幼く見えるものの、男だけで固まってボール遊びなどをしているとさすがに目立つのか、今度は日本人と思われる女性のグループが声を掛けてきた。まったくもって忙しいことだ。
「あのぅ、もしかして日本の方ですか?」
「ご一緒してもいいですかー?」
「よかったらこの後お食事とかいかがですか?」
先程の欧米人の女性たちと殆ど同じ誘い文句が錯列だ。
と、いち早くそれに答えたのは鐘崎だった。
[ごめん、何かな?]
にこやかながらも言語は広東語だ。女たちは戸惑って互いの顔を見合わせている。
「あー……っと、エクスキューズミー。英語はいけますか?」
今度は片言英語で話し掛けてきた。すると続いて周が早口の広東語で畳み掛けた。
[すまんがよく分からんのでな。他を当たってくれると助かるぞ]
こちらもまた気持ちの悪いくらいに満面笑みのオマケ付きだ。女たちはタジタジとしてしまい、
「あー、ごめんなさい。日本人かと思ったから」
「また今度……」
苦笑と共にそそくさと去っていった。
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