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これ以上側に行けない③
「ああああ!」
萎えていた竿が硬さを取り戻し、玲旺はたまらず体をのけ反らせた。
「やっと中も馴染んできたな。じゃあ、思い切り動くよ?」
久我が玲旺の背に手を回し、両肩を掴んだ。
一度入口まで引き抜いた後、楔を打ち込むように一気に中を貫かれる。
「ひッ!」
肩を抑え込まれているので突き上げられても衝撃が逃げず、久我の凶暴な雄が玲旺の奥に容赦なく当たる。玲旺の尻に久我の腰が激しくぶつかる音が規則正しく鳴った。塗りたくられたローションが、ぐちぐちといやらしく響く。
「あっ、ん、あっあっ」
玲旺の勃ち上がったものは、覆いかぶさる久我の腹で擦れて刺激を受け続けた。目の前がチカチカする。嵐のような快楽の中、玲旺は意識を飛ばさないように久我の首に腕を回してしがみつく。首筋や耳朶を舐められ、ゾクゾクと快感が這い上ってきた。
「久我さ、ん……あ、あぁ。久我さん、久我さんッ」
馬鹿みたいに何度も名前を呼びながら懇願する。
「お願い。俺のこと好きって、言って」
荒い息を吐きながら、久我が切なそうに眉を寄せた。
「……言えない」
「じゃあ、嫌い、なの?」
「嫌いじゃない……っ」
切羽詰まったように久我は目を閉じた。腰を振る速度が上がっていく。
「桐ケ谷……。俺はいつでもお前の味方でいるから。辛い時は、必ず助けるから……!」
耳元で告げる声は掠れていて、苦しそうだった。気絶しそうな程の激しい行為の中、愛しい人から「お前の味方」と言ってもらえたのに、どうしてだか寒くて寒くて仕方ない。
「今、辛い……」
思わず漏れた本音と一緒に涙も出た。久我の吐息は震えている。無言のまま抱きすくめられ、何度も何度も強く穿たれる。体の動きに合わせて久我の前髪も揺れ、表情が隠された。
「あぅ、あっ、あああ。んんッ」
「クッ……ッ!」
久我も限界が近いらしく、低くうめきながら夢中で腰を打ち付ける。
「あ、あ、イク、もうだめ……ッ」
玲旺の体は自分の意志とは別に、勝手にのけ反り痙攣を繰り返す。白濁の液が飛び散った。
「ッ……! ああっ……」
久我も玲旺の最奥で動きを止め、熱く昂った欲望をその中に全て注いだ。久我の雄が自分の中でドクドクと鼓動を打っているのがわかる。久我の目は蕩けるようで、紅潮した頬と荒く弾む息が色っぽい。放心しながらも、玲旺は久我に向かって手を伸ばした。
「好き。俺は、久我さんが好き。好き。す……」
言葉の途中で唇を塞がれ、舌を深く捻じ込まれた。「それ以上言うな」と制されたようで、悔しくて玲旺は久我の背中に爪をたてる。久我の陰茎はまだ玲旺の中に入ったままで、舌は貪るように口内を這う。上も下も繋がっているのに距離がゼロだとはとても思えず、これ以上側に行けないことが悲しかった。
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