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第137話
着替えの用意とかして来て良かった
突発な宿泊が出来るのもお互い1人暮らしの特権だよな
誰にも邪魔されずこんなにもずっと一緒に朔夜と居られるんだから……
「もうここに住んじゃえばいいのに」
『だ、ダメだよ!それはダメ』
「どうして?俺は構わないけど」
『付き合ってまだちょっとしか経ってないし、アパートだって2年契約だし』
「じゃあ2年後に更新なんだ?」
『うん。でもその時の状況次第では更新するかどうかはわかんないや』
「そっか。あと2年か……」
『ん?』
「じゃあ2年後なら問題ないよね?」
『問題ないって?』
「同棲だよ」
『同棲!?』
「うん、それなら問題ないでしょ?」
朔夜と同棲……
『今でもほぼ半同棲状態だよね?』
「まぁね。でも最終的には一緒に暮らしたいな」
指を絡められ甘えた声でそう言い俺に擦り寄って来た
『でもここって家賃やばいよな?俺払えないよ』
「そんなのはその時に考えればいいじゃない」
『でも……』
「ね?」
『……わかった、考えとく』
「うん」
同棲という言葉に凄くドキドキしてしまった
もし本当にそうなってくれたら毎日朔夜と一緒に居られるし超幸せなんだろうけど……
その時、丁度湯張りを知らせる音が聞こえてきた
『お風呂沸いたみたいだよ』
「そうだね、先に行きなよ」
『朔夜先入りなよ』
「じゃあ一緒に入っちゃう?」
『え?』
「ちょっ真っ白!入れ過ぎじゃない?何にも見えないし」
『仕方ないだろ!?』
入浴剤をドバドバと入れまくり全く見えない状態を急いで作った
一緒に入っちゃう?って聞いときながら返事をする前に俺は浴室まで担ぎ込まれ、服を無理矢理剥ぎ取られてそして今に至る……
本当なら先に洗ってから入る派だけど今は緊急事態だからやむを得ない
「体洗ってあげようか?」
『い、いい!自分でやるから向こう向いてて!』
「今更じゃない?憂の体は隅から隅まで」
『しーっ!!』
向こうを向いてもらってる間に先に体を泡まみれにしそのまま頭を洗った
そうすれば頭の先から足の先まで全身泡星人の完成だ
「何も見えない」
『あっ!やっぱり見ると思った!』
「ん?」
朔夜は誤魔化す時必ず、ん?と言う
『はいあっち向く!』
「もぅ、わかったよ」
『見てるからね!』
朔夜の後頭部を見つつ頭からシャワーを浴びた
「結局泡しか見えなかったし」
『男の裸なんか見たって仕方ないだろ』
「男は男でも憂の体だもん。じゃあ次は俺が洗う番だね」
向こう向いてるねって言う前に朔夜はザバッと湯船から上がった
『わ、わあっ!!』
慌てて背中を向ける恥ずかしがり屋な俺
「見てもいいのに」
『いい!』
「照れちゃって」
泡を立てる音、それにシャワーを流す音を聞きながらお湯に浸かる
ちょっと熱くなって来たかも……
洗い終わった朔夜が再び浴槽に入って来て漸く俺は朔夜と向き合った
濡れ髪の朔夜……相変わらずマジ格好いい
「大丈夫?熱くない?」
『もう少ししたら上がるよ』
「のぼせちゃダメだよ?」
『朔夜が意地悪な事しなかったら大丈夫だよ』
「またそんな事言って」
『ははっ』
熱くなっている朔夜の手が俺の頬に触れた
『……キスだけだからね』
「もちろん」
他にも色々されるかもって覚悟したけど、朔夜は本当にキスだけしてそれ以外の事は何もしなかったんだ
しかも風呂から上がってそれからベッドに入るまでも一切俺に触れてこない
こんな事は初めてだ……
やはり様子がおかしい
や、それでおかしいって思うのもどうかと思うけど
『……今日は大人しいんだね』
ベッドの中で朔夜にそう言ってみた
「ん?どう言う事?」
『だっていつもならもっと……や、別に触って欲しいとかそんなんじゃないから!』
「触って欲しい??ああ……」
朔夜は俺の体を引き寄せぎゅっと抱き締めた
「さすがに連日だと憂にかなり負担が掛かると思って余り触らないようにしてるだけだよ。ほら、俺って直ぐ我慢出来なくなるし」
『負担……』
「明日も学校でしょ?余りサボり過ぎると憂の進級問題に関わってくるしさ」
『それは朔夜もでしょ?』
「俺は目指せ留年だから」
『こらっ!』
「ははっ、まぁそう言う訳だから今日はキスと抱き締めるだけ」
『やっぱりキスは外せないんだね』
俺がそう言うと、朔夜はまた笑った
「俺の愛情表現は主にキスだからね」
と言い、優しく俺にキスをしたんだ
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