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栢山先生の気持ち
僕は先生が
好きだし会えるのは
嬉しいけど……
「栢山先生、
言ってしまっては
どぉですか?」
「そ、それはちょっと……」
焦りだす栢山先生。
「このままでは
途軒君の機嫌が
治りそうに
ありませんよ?」
「俺も、龍也と
同じ意見です」
僕だけのけ者で
話しが進んで行く。
一体何の話?
「三人とも、何の
話しをしてるの?」
「いや……それは」
やっぱり歯切れの悪い透。
「そのうち分かりますよ」
落ち着いた様子の九重先生。
僕はまた、
不機嫌な顔になる。
もぉ、皆してなんなのさ!!
「栢山先生、私達は
夕飯の買い物に
行って来るので
途軒君とお留守番
お願いしますね」
二人っきり……
「透、行きますよ~」
「あぁ、そんじゃ、
二人とも宜しく!!」
透が話してる間に
九重先生が
栢山先生に
口パクで
"頑張って"と
言った事は
僕は知らなかったんだ。
返事をする前に
二人は玄関を
出て行ってしまった。
部屋に残された
栢山先生と僕。
何だか気まずい雰囲気。
僕と栢山先生は
向かい合わせで
座ってる為
お互いの顔が
良く見える。
先に口を
開いたのは僕だった。
「あの……
何で僕を
呼んだんですか?」
厭味っぽく
ならない様に
気をつけながら
栢山先生に訊いた。
「それは……」
僕から少し
目を逸らした。
「それは?」
気になってしょうがない。
「その前に
俺が何言っも引かないでくれ」
いきなり、何で
そんな話しに?
「分かりました」
同意すると
栢山先生が話し出した。
「俺は……
途軒の事が好きなんだ。
だから、二人に
協力して貰ったんだ」
僕の思考回路が
上手く回らない……
先生が僕を好き?
少しして、正常に
戻って来た時
近所迷惑
何じゃないかって
くらいの声で
思わず叫んでしまった。
「えぇぇぇ!?」
栢山先生は
俯いて黙ったまま黙ってる。
僕の返事を
待ってるんだよね?
栢山先生の言葉が
真実(ほんとう)なら
かなり嬉しい……
だって両想いだよ?
嬉しすぎる。
「栢山先生、今の
本当ですか?」
確認してみる。
「本当だ」
意を決して
僕も栢山先生の
気持ちに答える。
「あの先生?」
「何だ?」
「僕も栢山先生が
好きです//////」
他の人には(透にだって)
見せない様な
とびっきりの
笑顔で言った。
そしたら、
ソファーから
立った先生が
僕を強く抱きしめた。
「これから、宜しくな」
「こちらこそ、
宜しくお願いします」
僕は生まれて
初めてのキスをした。
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