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夏休み

一ヶ月なんて すぐに経つもので 今日から夏休み。 流石に毎日は 行けないが 龍也との約束は守る。 言い出しっぺは俺だしな。 そんなある日の登校日 職員室の前を通ると 何やら騒がしかった ドアが少し開いていて 中の声が聞こえてきた 気づかれない様に 聞き耳を立てていると どぉやら話しの 中心人物はアイツだった。 教師達はアイツの 悪行を知らなかったらしい。 龍也の事は 他言無用であり 知ってるのは 本人とアイツを抜けば 俺と校長くらいだ。 だとすると 話題の内容は 女子達の のぞき見写真だろう。 「しかし、彼が こんな事してたなんて 知らなかっな」 五十代の男性教師が 言うと三十代の 女性教師がすかさず答えた。 「女の敵です!!」 四十代の男性教師も言う。 「解雇されて良かったな」 「女子達も安心して 学校生活を送れますね」 当然、女子達は 自分達の着替えを 盗撮されてたなんて 今もこれからも 知らないままだろう。 聞き耳を立てながら 龍也を探したが 俺の居る位置からは 見えなかった。 職員室を離れ 屋上に来た。 此処で泣いてる 龍也に会ったんだよな…… キィと音を立てて扉が開いた。 「此処に居たんですか」 入って来たのは さっき、探してた人物。 「龍也、おはよ」 「おはようございます、透。 こぉして、会えるのは 嬉しいですね。 朝から、会えるなんて 一日良い事がありそうです」 ギュッ。 「透、誰か来たら//////」 「誰も来ない それより、 龍也HR良いのか?」 時計を指して問いかけた。 「ヤバいですね 急いで戻りましょう」 「俺はサボるつもり だったんだけどな」 苦笑いして言った。 「貴方は何教師の前で 何、堂々とサボる 宣言してるんですか」 「龍也だからな 他の教師じゃ こんなこと言わなぇよ」 「結局サボるにしても 一旦教室に行って下さい」 なんだそれ…… 「それこそ、 教師が言う事じゃないだろ? 龍也に言われちゃ しょうがねぇな、走るぞ」 「はい」 チャイムギリギリで 教室に着いた。 「私も自分の 教室に行きますね」 俺を一年の 教室まで送ってくれた 龍也が慌てて 二年の教室がある 三階まで走って行くのを 見送った後、 教室に入り 自分の席に座った。 夏休みに講習だなんて めんどくさい。 午前中で終わりだが 俺はすぐに 屋上に行くと決めていた。 俺が屋上に 行こうとしたら 担任が何か 言っていたが そのまま 屋上に向かった。 当然のことながら誰も居ない。 龍也は自分のクラスに 間に合ったのだろうか? 後で聞いてみよう。 人目の付かない 所まで行き ブレザーを丸め 枕代わりにして寝転んだ。 空は雲一つない晴天。 龍也と見たかったなぁ 今は授業中だから 無理な話しだ。 俺は目を閉じて 寝る事にした…… 何時間くらい寝て 居たのだろうか? 目を覚まして横を見ると 龍也が居た 「龍也、 何時から居たんだ?」 「ほんの十分くらい前ですよ」 何で起こさないんだ? 「起こしてくれりゃ良かったのに」 屋上で堂々と 寝てる生徒を起こさずに 見ているだけって 本当に教師か? 「あまりにも、気持ちよさそうに 寝ていたので起こすのが 忍びなかったんですよ」 良くこれで 教師が務まるよなと 思った事は 龍也に言わないでおこう。 きっと拗ねるだろから。 年上だがちょっと 子供っぽいところがある。 「そぉか、有難うな」 「いいえ」 「そぉいや、 俺達しか居ないのか?」 屋上には誰もいない。 「はい」 「そぉか。 じゃぁ、龍也も 寝転んでみろよ 空が綺麗だぜ」 さっきは無理だと 思ってたけど 願いが叶ったな。 「でも……」 スーツが汚れる事を 気にしてるのか? 「ほら、これなら スーツ汚れないだろう?」 「透のブレザーが汚れますよ」 いいからと渡した。 さっきまで、枕代わりに してたくらいだから 別にいい気にしていない。 「そぉですか、 じゃぁ、お借りしますね」 律儀だな。 「ぅゎぁ~ 雲一つ ありませんね」 龍也が 喜んでくれてよかった。 「綺麗だろう? 龍也に見せたいと 思ってたんだ」 感動してくれてよかった。 「透と見れて嬉しいです」 だから、 その笑顔は反則だ…… 「時間良いのか?」 俺はこのまま サボりを続行するつもりだ。 「次は授業ないですから 透はずっと 此処に居るつもりですか?」 「そのつもりだ 俺が此処に 居る事は秘密な」 「分かってますよ」 「私もせっかく 透と話せるのに 他の先生達に 言ったりしませんよ」 内緒ですと言った。 「見つかったら 龍也も一緒に 怒られてくれるのか?」 「勿論ですよ。 正式に付き合うのは 夏休み明けですけど 私達はもぉ 恋人同士なんですから」 「そぉだな」 「でも、今回は 本当に助かりました。 有難うございます」 「礼を言われるような 立派な事はしてないぜ?」 頑張ったのは龍也だ。 「いえ、私にとっては 嬉しかったんでから、 お礼を言わせて下さい」 チュッ 「もぉ一つのお礼です」 そぉ言って頬にキスをした。 「誰かに見られたら どぉすんだよ」 誰も来ないのは わかっていながら 言ってみる。 「こんな奥まで来ませんよ」 まぁな。 「かもな」 龍也は年上で 教師なのに 少し天然なとこが ある気がする。 会って数ヶ月 一緒に居て 見てるとそんな感じだ。 守ってやりたくなる。 「透、此処に 居るのは構いませんけど くれぐれも 見つからないで下さいね? 私はそろそろ 職員室に戻りますから」 「分かってる。 また後でな」 「はい」 龍也は屋上を出て行き、 再び一人になった俺は 携帯を取り出し 空の写真を撮った。 教師達は来ない。 シャッター音も聞こえない。 のんびりと空を見ていた。 後一時間で 今日の講習は終わる。 皆が帰る頃に 一緒に出れば 気づかれないだろう。 龍也とは一旦帰ってから 会う約束をしている。 制服のまま教師と生徒が 一緒居るのを見られるのは 何かと問題があるし やっとアイツが居なくなって 安心して学校に 居られる様になったのに 俺との事がバレて クビにでもなったら嫌だからな そこらへんは慎重に 行動しなきゃいけない。 一時間後…… そろそろ、皆帰るよな? 俺は、そぉっと 屋上の階段を降りて 下駄箱に向かった。 そして、誰にも気づかれず 生徒玄関を出て 一人で家に向かった。 後に職員室では俺が 居ない事が 問題視されたらしい…… 二人で会った時に 龍也が教えてくれた。 「透が帰った後で 担任の先生が 咎められていましたよ」 悪いことしたな。 「あちゃ~ 教室出る時に帰るって 言えばよかったか?」 「それもそれで、 どぉかと思いますけど……」 一緒に苦笑いしてくれた。 「龍也は、当然 その場に居たんだよな?」 当たり前だが。 「勿論居ましたよ しかも、透がずっと 屋上に居たのを 知っていたのは 私だけですからね 笑いそうに なってしまって 必死で堪えるのが 大変だったんですよ」 「それは、ご苦労さん」 ポンと龍也の肩を叩いた。 「皆が帰る時に 一緒に出たから 結果、無断帰宅だな。 話が変わるけど 龍也の飯って美味いよな」 「そぉですか? 有難うございます」 学校から帰って 着替えた後 俺は龍也ん家に来て居た。 外の店に行って 見つかるのも嫌だし かと言って俺ん家でも 何かとヤバいと思って 結果龍也ん家に来た。 此処なら、 見つかる心配が 少しは減るからな。 「普段は桜香ん家で 食う事が殆どだから 他の人が作った飯は 初めて食ったけど美味い」 自然と口から出た 幼なじみの名前。 「桜香って?」 龍也には話してなかったか? 「あぁ、幼馴染だ 俺ん家は、 親父と二人暮らしで その親父も しょっちゅう居ないから 何時も桜香ん家で 飯食ってるんだよ」 「何時か紹介して下さいね」 そうだな。 「今朝、俺を 送ってくれた時に 居たんだけどな 時間が無かったから 紹介出来なかったんだ」 あの時、居たんだが 時間的に紹介できなかった。 「同じクラスなんですか?」 「あぁ」 「幼稚園から ずっと一緒なんだが 自分の事より 他人の事ばっかりで 俺が怪我した時とか 自分の事みたいに 痛そうな顔するんだ」 「優しくて、 よく気が利いて ちょっとドジなところも あるけどいい奴なんだ」 幼なじみ贔屓じゃなく、 本当にそういう奴なんだ。 「そぉなんですか」 その後、 子供の頃のを沢山した。 失敗した事や 嬉しかった事、 悲しかった事、 辛かった事も かなり長い間 話してたのに 龍也は嫌な顔せずに ずっと俺の話を 聞いててくれた。 そして、話終わると 龍也が言った。 「何時も 一緒だったんですね」 そぉ、俺達は 何をするにも 何時も一緒だった。 昔は桜香が 一番大事だったけど 今は龍也が一番大事だ。 「まぁな」 「今度は 龍也の話が聞きたい」 「いいですけど あまり、面白い話 ないですよ?」 聞ければ何でもいいんだ。 「龍也の話が聞けるなら なんだって良いんだよ」 「何処からお話したら いいんでしょうか?」 龍也が悩んでいる。 「じゃぁ、龍也が 俺達くらいの時の 話が聞きたい」 「高校時代ですか」 そうそう。 「その頃の私は 教師になろうなって 思ってなかったんです」 へぇ~ 「と、言いますのも 両親が教師だったので 何時も口煩かったんです」 自分の親が 教師だったら 俺はグレてたかもな。 「そぉなのか」 「はい 兄も私も 両親とは よく喧嘩しました」 「兄貴、いるのか?」 「二つ上の兄がいます」 そうなのか。 「良いな、 兄弟がいるっていうのは。 俺も桜香も一人っ子だか やっぱり、 兄弟がいるって 良いなと思うんだ」 兄弟みたいに育った 俺たちでもやっぱり、 血の繋がった兄弟とは違う。 「兄貴、 何の仕事してるんだ?」 「普通の会社員ですよ」 意外だな。 「龍也は何時 教師になろうと 思ったんだ?」 「高校三年の夏ですね。 進路が決まってなくて 当時の担任の先生に お前は頭いいんだし 教え方も上手いんだから 教師し目指してみろと 言われたんです」 今度、龍也に 教えてもらおう。 「確かに、勉強は 出来ましたし 人に教えるのも嫌いじゃ なかったんですが なんせ両親が 教師でしたから 反発心もあったんです」 成る程。 「何て言うか…… 負けた気がして 初めは担任の先生にも 嫌だって言ったんですよ だけど、 今は嫌だと思っていても 教師になった時に 本当の答えが 見えるはずだから とりあえず 目指してみろと言われ 教育学部に行ったわけです」 「良い担任だな」 まさに、恩師だ。 「そぉですね」 「龍也って何高?」 出身校知らないな。 「クスッ、藤咲ですよ」 マジ!? 「え?」 素っ頓狂な顔した俺を 見て、笑った。 「母校なんです」 「それ先に言えよ」 予想外だった。 「透の驚いた 顔を見たかったんです」 小悪魔め。 「何だよそれ」 「何となくです」 「龍也は何で、 藤咲に行ったんだ?」 高校なんて 山ほどあるだろうに。 「あの当時 一番の進学校が 藤咲だったんですよ」 初めて知った。 「今は藤咲より いい進学校が 沢山ありますけどね」 「透こそ 何で藤咲にしたんですか?」 歩いて行けるからだ。 「近いからと 後は桜香が 一緒だったからな」 基本、づぼらの俺は 桜香に便乗した。 「本当に仲が良いんですね」 「小さい頃から ずっと一緒だったから 高校で離れるっていうのも なんだか嫌だったんだよ」 適当にごまかしといた。 「龍也は、一緒に 行きたいと思った 友達とか 居なかったのか?」 「居ませんでしたね。 勉強を教えてくれてと 言ってくる人達は 沢山居ましたけど 特に仲が 良かったって言う 友人は中 高校時代は 居ませんでした」 そうなのか。 「ある程度の付き合いは 勿論ありましたけど 透と途軒君のような 親友と呼べる 存在は居ませんでした。 まぁ、だからと言って まったく友人が居ない わけじゃないですけどね」 龍也なら友達が 多いイメージだったんだけな。 「親友とまでは いかなくても 大学からの 友人は居るんですよ」 「そぉなのか?」 「はい」 「何時か、 紹介してくれよな」 さっきの龍也の 台詞を借りてみた。 「そぉですね。 透が高校を 卒業したら紹介しますよ」 「楽しみにしてる」 「でも、龍也が 年下の男と 付き合ってるなんて 知ったら 引かれるんじゃないか?」 ノーマルな人間なら 確実に引くだろう。 「大丈夫ですよ」 自信満々だな。 「根拠は?」 「彼も同じだから」 同性愛者って事か…… 「ご想像の通りですよ」

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