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新しい家族

お揃いのスーツは、トルクにとても似合っていた。 僕は七五三みたいになり、違う意味での恥ずかしさを覚えた。 招待してくれたダイニングには大皿で盛られた料理が用意されていた。 それを見て、トルクを見上げると、優しく微笑んでくれた。 「僕の旦那様は、僕を幸せにしてくれる天才だね」 コソッと囁いたら、トルクはもっと幸せそうに笑っててくれた。 ワイスさんは、先割れスプーンを僕以外の席にも用意してくれていて、使っても恥ずかしくないようにしてくれていた。 食事が始まると、こんな食べ方知らなかったとか、先割れスプーンが便利でいいとか、兄弟たちは喜んでくれた。 「これは咲季が生まれた国で使われていたもので、先割れスプーンと言うそうだ。  どうでしょう?  これを産業の一つにしては?」 「うん、これいいな。  まだ人化出来ない小さい子の食事にはうってつけじゃないか?」 小さい子は半獣とかで肉球があって持てないかもしれないね。 「あの、もっと小さい子ようのスプーンもあるんで、今度教えますね」 持ち手が輪っかになってるやつだ。 「咲季様は、やはり神の子ですね」 長兄のシャズがそんな事を言うから、違いますと焦って否定した。 「咲季は神の愛し子だ  祝福も頂いた。  私も、この目で神に会うことが出来た。」 「それは誠か!」 お父様が身を乗り出した。 「はい  咲季は、奇跡なのです。」 「まさに、そうじゃな」 他の兄弟たちも、驚いていた。 レオハルトとの伴侶解消を知ってるくらいだから、この情報も入ってるはずかと思った。 「これからお前達はどうしようと考えておる?」 「私たちは、この国で手伝えることがあれば、とは考えております。  ただ、明日あたりから、煩くなりそうなのでご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。」 「何言ってんだ、トルク  私達は家族だろ?  それにどうせ、あのレオハルトが来るって話だろ?  みんな知ってるさ。  おまえが、あそこの団長と分隊長の首を落としたのは有名だからな。」 あの街での事か。 本当に血の雨が降ったんだし、あの場にはいろんな国の諸侯達も集まってた訳だしな。 でも不思議と僕のことはあんまり知られていないみたいだった。 「あと、お前の巨根を公開したとも聞いてるぞ」 え!? あ、だから最初に無茶されてるって知ってたわけね。 ワイスさん、報告しなくていいところでしょ、そこは! 「こんなちっちゃいお尻に入るもんだねー」 いや、もう、この話題から離れようよ。 「あと、私は咲季に言祝ぎの誓いを致しました。  咲季も私に誓いを返してくれました。」 「え!!?」 驚きの声をあげたのは一番末の弟だった。 なぜ声を上げる? 「あ、失礼しました。」 「あー、こいつ、トルクが大好きなんですよ。  末っ子だし、ここに居ないトルクを神聖視してるんですが、害はないと思うんで。」 2番目のお兄様のロゲルが教えてくれた。 なんか、フラグ立った気がするんだけど。 言祝ぎの誓いは、それ程重要なんだと言う事を再確認した。 向こうの世界でも、入籍しても浮気をする奴はするし、逆に言祝ぎの誓いが欲しいくらいだと思うな。 生涯一人、お互いだけって、凄く良いと思った。 てこてはさ、末っ子トアにしてみたら、僕は敵だよなー。 できれば仲良くしたかったけど、態々、刺激する必要もないから、ここは一つ、放置と決め込んだ。 「誓いは、絶対ですからね」 あえて、ニッコリ笑って言ったトアがなんだか怖かった。 そこへ、ワイスが来客を告げにきた。 「レオハルト様がお見えになりました。」 お父様は、ニヤリと不敵に笑った。 「やはり、来たか。」 「さて、少し肩慣らししますかね。  あと、この喧嘩、だいぶ前から買ってるやつだから、咲季ちゃんの事とは関係ないからね、トルク。  まあ、参戦するなら、喜んでだけど!」 シャズとロゲルは愉しげに、剣を携えて客人のレオハルトを迎えに出て行った。

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