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擬態

子供たちをこの国から出すのは、僕が納得しなかった。 自分の命より大事な子達を危険に晒すなんて、絶対出来ないって断固拒否したら、トルクと隣国へ探りに行くにしてもそのままじゃって言われて、初めて擬態のスキルを思い出した。 あほの子じゃないけど、僕、擬態できたのホント忘れてて、使ってみたら色も変えられた。 「咲季ちゃん、そのスキルあったのなら、普段からそれ使ってよ。  そしたら大分警護とか警戒楽になるから」 結構辛辣にマナイから言われて、最後に皆からも、ぼんやりさんだからって付け加えられた。 今回は否定できません、はい。 「へぇ、種族も変えられるんだ」 「そうみたい。」 取り敢えず、オオカミになるのに初めて使った時は、着ぐるみ着た感じで変だったけど、今はレベルもMAXだからか、しっかり変えられてた。 「危険には晒したくないけど、トルク兄様がいるなら、あえて鳥獣人とかどうです?」 マナイ宰相、えげつないって言われたけど、ライハンの事情も探れて、正体もバレなくて合理的だと押し切ってた。 「さっきマロが見せてくれた鳥獣人の感じってこんなんだけど…」 僕の世界では、これ天使って言うんだけどな。 「うわぁ、これいい!!   咲季、凄い似合ってるし!!  いや、金色の髪に金色の瞳、それに綺麗な翼!!」 トルクがやたら興奮してるのが、ちょっと気に入らないけど。 「ライハンの事情を探るなら、直接ライハンへ行けばどうなの?」 「咲季の疑問も尤もだけど、それはライハンだけの事情が分かるだけで、今回関わってる他の国の事情までは探れないだろ?  一番の問題はレオハルトの所だけど、そこは行かせるわけにはいかないからね」 マナイが言うのと同時に、フロウが監視と音声を拾える魔法陣を組み込んで、魔道具として耳に付けてくれた。 「ピアスだね、フロウ、ありがとう」 「母様は間違いなく失くすだろうから。」 え、ナニそれ、酷くない? 「ワイス、咲季にライハンの服を用意してやってくれ」 「畏まりました。  では後ほど、お部屋で採寸をさせていただけますでしょうか。」 使用人の人たちが、わくわくした表情でこっちを見てるし。 今回はせめて、ちょっとは大人っぽいのをお願いしよう。 「ワイスさん、せめて今回は短パンとか止めてくださいね?」 「ふむ。  そうですね。  ライハンと言えば、長衣を好むところですし…」 良かった、丈は長いんだ。 部屋で擬態したまま採寸されるのに、使用人たちに寄って集って剥かれた。 「あら、種族を変えても乳首は変わらないわね」 「ピンク色ね、舐めたいわ」 「ペニスちゃんも変わらないわ」 「お尻も変わらないわ」 「お尻に小さい尾羽があるわ」 触られるし、拡げられれるし! 擬態しても神経通ってるんだから、触んないでぇ!! 「あら、スイッチが入ったわ」 「そうね、スイッチが入ってるわね」 「ペニスちゃんがおっきしてるわ」 「乳首ちゃんもピンピンよ」 「アナルちゃんもくぱくぱしてるわ」 これ決して許してるわけじゃないんだよ。 抗えないの! なんでかわかんないけど! 「さぁ、お前たち採寸は終わったでしょう。  急いで仕上げなさい」 ワイスが一言発すると、拘束が解かれたように動けた。 「はっ!!  これ拘束魔法?」 「ほっほっほ。  今更ですか、咲季様」 はい、今更でした。 「マナイ兄様に、特訓してもらいます。」 拘束魔法から逃れる手段を早急に取得予定です、はい。

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