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第十三章・2

 芳樹からの婚約指輪に、青葉は喜ぶと同時に困惑した。 「ごめんなさい、芳樹さん。僕は、こんなに立派なプレゼントを用意していません」 「青葉からの贈り物なら、なんでも最高だよ」 「それが……、物ではなくって……」  青葉は、芳樹のくれたカードやお金で、プレゼントを買うことをためらったのだ。  芳樹へのプレゼントを、芳樹のお金で買う。  それは、青葉にとって申し訳ないことだった。 「気にしなくていいのに。あのお金は、私のものじゃない。青葉がちゃんと働いて、身につけたものだよ」 「でも、家事だけであんなにたくさんお給料をいただくわけには」  そこまでで、芳樹は青葉の唇を塞いだ。 「ぅんっ。ん、んぅ」  滑らかに青葉の咥内を舐め、ちゅ、と音を立てて唇から離れた。 「君は私の、未来の伴侶なんだよ。私のパートナーなら、胸を張って堂々としていて欲しい」 「芳樹さん」  それより、と芳樹は青葉の顔を覗き込んだ。

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