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Ⅲ これは恋なんかじゃない!⑧
俺のお悩みは一刀両断。
言い切られてしまった……
大きな掌が俺の頬を撫でる。
「嫌がる事はしない」
「はい」
「キスも今はやめておく。だが、俺はあまり辛抱強くない。長くは待てないから、心積もりをしておくように」
「はい」
………………って★
「ええええぇぇぇぇーッ」
………………やっぱり、するんだ。
(キス)
「面白い顔になってるぞ」
「あっ」
真川さんが笑った。
(こんな顔もするんだ)
テレビで見た笑顔だけど、初めて見た顔のようにも感じる。
テレビで見るのとは、ちょっと違う雰囲気に感じるのは俺の気のせいだろうか。
「なんだ?もうしてほしいのか」
「なにをですか?」
「キス」
「違います!」
「直球すぎる」
「えっ」
「否定するなと言っている。傷つく」
「えっと、ごめんなさい」
「謝られても傷つく」
「ごめんなさ……」
うっ。
「うぅ~」
「どうした?」
「じゃあ、俺はなんて言ったらいいんですか。……ひっ」
グリグリ
「真川さぁん~っ」
「なんだ?」
グリグリグリ
「なんでグリグリするんですか~?」
「眉間に皺が寄ってるから」
「皺が寄ると、真川さんはグリグリするんですか」
「君が面白い顔になるからな」
指先でグリグリをやめてくれない。
「また面白い顔って言った」
「面白いから仕方ない」
可愛いんじゃなかったのか。
俺を翻弄する小悪魔αが。
「口を膨らませて、ますます面白い顔になった」
グリグリ~
「俺はあなたのペットかぁっ!」
「ペットじゃない。『番』だ」
…………………………へ?
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