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初めてのお稽古編『第21話*』
「あっ、はっ……」
名残惜しさを感じる余裕もなく、ずるりと肉槍を引き抜かれる。楔がなくなって弛んだ下の口から残滓が漏れ出そうになり、夏樹は慌てて尻に力を込めた。ここで漏らしたら畳を汚してしまうかもしれない。いくらなんでも、それはマズい。
「夏樹、大丈夫……じゃないよな。回復するまでしばらく寝てていいよ。俺は道具を片付けてるから」
「い、いえ、俺も手伝います」
あえて平静を装い、勢いよく畳から起き上がる。
こんな乱れた格好のまま一人だけ寝転がっているわけにもいかない。早く道具を片付けて、市川のマンションでシャワーを浴びたかった。
市川がお茶碗を洗い、乾いた布巾で水気を拭き取り、それを水屋の棚に並べていく。
「後で家人がちゃんと片付けに来るから、これは仮仕舞いって感じかな。こうやってサッと洗って道具を並べておくだけでいいんだ」
「そうなんですか。ちなみに、普段お道具はどこに置いてあるんですか?」
「母屋の裏にある倉庫に全部保管されてるよ。稽古する時は、そこで季節に合った道具を自分なりに見繕うんだ」
「へえ……」
「さて後は釜だけかな。夏樹は先に行って着替えてていいぞ」
「あ、はい。わかりました」
言われた通り、夏樹は離れを出て屋敷に戻り、最初に着替えた和室に向かった。白濁が飛び散った痕を隠しつつ、急いで和室に駆け込む。幸い、誰とも遭遇しなかったので少しホッとした。
(ったく……結局一回ヤる羽目になったじゃないか)
あーだこーだ理由をつけていたが、屋敷で稽古するのを渋ったのも、結局は存分にイチャイチャできないからだろう。真面目な稽古をしていても、やっぱり市川はいつでもどこでも変態である。
やれやれ……と溜息をつきながら、夏樹は汚れた着物を脱いで、元の私服に着替えた。
脱いだ着物を持って元の茶室に戻ろうとした時、
「ちょっとあなた」
後ろから女性に声をかけられた。振り向くと、そこには祐介の実母・美和が立っていた。
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