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王子さまとの出会い
遅刻ギリギリでタイムカードを押し事務室に急いで向かうと、
「お、四季おはよう」
「たもくんどうしたの?」
「金型の試作品を朝イチで持ってきてくれって武田課長に頼まれたんだ」
廊下できよちゃんの彼氏のたもくんと擦れ違った。
たもくんは工業系の高校を卒業して、金型設計・機械設計の須釜製作所に就職した。
「お前こそ大丈夫か?」
「え?何が?」
意味がいまいち分からなくてきょとんとして首を傾げると、
「あのな………天然なのか、ただ単に世間知らずなだけなのか……」
苦笑いされ、ため息をつかれてしまった。
「運転していた男、どっかで見たことがあるんだよな……ヤバイ奴じゃないよな?アレ、最新の高級スポーツカーだぞ」
「え?そうなの?」
「あのな………」
しまいには頭を抱えられてしまった。
ごめんなさい。貯金もないから生活するだけで精一杯で。
「どうしたの?」
ちょうどそこへきよちゃんが通り掛かった。
「四季がヤバイ奴に捕まった」
「たもくん、彼、ヤバイ人じゃないよ。あっ、そうだ!名刺!」
ポケットのなかをごそごそと探った。
「ちょうど良かった。二人に聞こうと思っていたんだ。どっかで聞いたことがあるんだけど、思い出せなくて………オークポリマーって会社なんだけど……」
名刺を取り出して見せたら、
「四季、知らないの?」
「業界では超有名人だぞ」
二人にびっくりされてしまった。
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