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いつかきっと笑ってくれますか

「当時お前はまだ5歳だった。覚えていないのも当然だ。俺の父もお前のことをいつも心配している。2年前の事件のときもそうだ。四季はそんなことをする子じゃない。何か裏がある。元新聞記者としての直感を信じ、自分で事件を一から洗い出しマスコミにその情報を流した。頑として非を認めず一切謝罪しようとしない警察や弁護士の処分を求め嘆願書を出したが相手にもされず門前払いだ。それでも諦めずお前の名誉を回復するため署名活動をして何十万人という署名を集めた。関わった警察官や弁護士が処分され、警察署長が謝罪するに至った。四季、お前は一人じゃない。俺も父も、朝宮も、結も、櫂も、一宮さん夫婦も……みんな、これからもずっとお前の味方だ。お前は朝宮と幸せになるために産まれてきたんだ。みんなを不幸にするためじゃない。だから、朝宮を信じて付いていけ」 副島さんがすっと静かに立ち上がった。 「これから会議なんだ。会社に戻る」 背凭れに掛けてあったスーツを手に取った。 「副島さん、待ってください」 「時間がない」 すたすたと早歩きでドアに向かった。 「黒幕が誰か分かってその人が捕まって、もとの生活に戻ったらだけど、そのときは笑ってくれますか?結婚式にも参列してくれますか?」 「俺からも頼む」 和真さんと一緒に頭を下げた。 「分かった」 一瞬だけ立ち止まるとボソッと小さく呟いて何事もなかったように帰っていった。

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