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俺がお前を好きになったのは
「か〜お〜る〜ちんっ!おはよ!!」
「うわっ!翔(カケル)!!おまえなぁ〜、はぁ…。」
「えっ、なに!その反応!?ちょっ、俺泣いちゃうよ?」
「はぁ?今更何言ってんだ、いつものことだろ!ってか、毎朝毎朝校門で待ち伏せして、なおかつ抱きついて挨拶するの止めろ!!」
「そんなこと言うなって、俺とお前の仲だろ?っん?薫(カオル)?ちょっ、待て待て。人が話してんのになに無視して先に行ってんだよ!!」
「お前がチンタラしてるのが悪い。置いてかれたくなかったら早くこい!!」
「はぁ〜。相変わらずだな、薫。昔はもっと可愛かったのに…。」
「おい翔!!俺のこと可愛いって言うなっていつも言ってるよな?その耳は聞こえてないのか?じゃあ付いてる意味ないんじゃないか?なら削ぎ取ってもいいよな?」
「お〜、怖い怖い(苦笑)!!はいはい、わっかりましたよ〜ん。って、チャイム鳴ってんじゃん!!」
「チッ!だから早くしろって言ったんだろ〜が。また走るハメになる。」
「ゴメンって!…じゃあ今日も頑張りまっかねぇ」
俺 高梨 薫(タカナシ カオル)と、結城 翔(ユウキ カケル)は幼馴染みだ。そして俺は翔に恋心を抱いている。こいつを好きになったのは10年程前だった。小学1年生だったその頃の俺は「かおる」という名前と、少し容姿が女子っぽいということでよくイジメにあっていた。最初の頃はなんとか我慢できていたが、どんどんエスカレートしてく内に俺は本気で学校が嫌いになっていた。そんな時に手を差し伸べてくれたのが翔だった。何度も何度も。
その時ぐらいからだったと思う、あいつを好きになったのは。だけど、小学生ながらも俺は男同士の恋愛なんて実るはずがないと思い、それ以来10年間、俺は誰にもバレないように恋を抱きつづけている。
俺 結城 翔は高梨 薫に片思いしている。その思いを誰かにうち明かしたことはない。言えるはずがない、だって俺もあいつも男なんだから…。
俺と家族は俺が4・5歳ぐらいの時にこの街に引っ越してきた。っで、隣の家に住んでたのが薫だったんだ。最初に薫を見た時は「この子小さい…。」という感情しか持たなかったけど、仲良くなってからよく遊ぶようになってから、その感情はいつしか「薫を俺だけのものにしたい」という感情に変わった。
たぶん、今考えるとあれは一目惚れってヤツだったと思う。
――――これは、両想いだということにお互いに気づかず、抱きつづけている恋心を必死に隠しながら、日々を送る2人の男子高校生の物語。
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