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アイシテルからくれない
遊郭シティもの。
△!BLですが男女絡み描写アリ
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女を、抱く。甘たるい中で、弾むような声。衣装は煌びやかだ。刺繍も凝り、着方も様々。髪飾りも毎度違う。男を買うより、鮮やかだ。弟子入りした芋百姓の子供を毎夜毎朝ミテイルために、なおのこと強く思う。
蕾堂遊郭、男を買う店の前でガラス細工のような男は立ち止まった。繊細な眉、長く濃い睫毛、薄い目蓋、よく通った鼻梁、肌理細かな皮膚。体格も悪くない。一言で表すのなら玉のような美男子が、毒々しくも蠱惑的なネオン管に炙られている。悶えそうなほどの欲求を端麗な鉄仮面の下にひた隠し、暖簾をくぐった。
完全他者を抱く。絶対他者とのこの行為を自然的な摂理として繁栄があるのだから不思議だった。否、他者と切り捨てられたために成立しているといってもいい。肉体の違いに人格は介入してこなかった。買うのなら女だ。男は抱かない。同じ肉体を持っていれば、そこに個人を見出し、またもや彼の喉を焼き、胸を焦がし、全身を燻らせると決めてかかっている。
今頃、彼を情念の竃に閉じ込めた泥臭い子供は荊堂遊郭で色子の作法を躾けられているに違いなかった。16というがまだまだミミズやカヘルで遊んでいそうな子供が自身の肉体の神秘を知る。役割を知り、年若い師を悦ばせる術を知る。
純朴な芋餓鬼になんという注文をつけてしまったのだ。迎えに行けば5歩は離れて歩くというのに。追い付いてくるなら、きっと奪って喰うのだろう。蒸して、剥いて、齧り付く。師としての矜持ひとつも与えられずに。
女を抱きながら隣の熾烈な区画を想い、ひとり焦る。
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納得いかない仕上がり。55点。
※一部造語。
※一部差別的ニュアンスを含む表現。
2021.1.7
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