「ねぇ、聞いて！こないだついに幸樹とね……」 「えー！やったじゃん！おめでとう！」 部活帰りのバスの中。 知らない学校の知らない女の子たちの会話が耳に入ってくる。 付き合って半年くらいでようやく初体験したとかしないとか。 そんな話、誰が聞いてるんだか分かんないんだからしない方がいいのに。 はぁ。 オレはまだなのに。 そもそも、オレたち付き合ってるって事でいいのかどうかも怪しい。 高１の時、何でそんな話題になったかもう忘れたけど、好きな人がいる、いないの話になって、それで大地がオレの事、初めて好きになった人だって言い出して。 オレ、その時は大地の事を好きかな？くらいだったんだけど、大地にそう言われちゃってからどんどん大地に惹かれていっちゃって。 そんな感じだからっていうのもあるし、何より大地が、 『卒業するまでは清い関係でいよう』 って両想いだって分かってすぐに言われたから、たまに手を繋いだり、抱き合うくらいでキスさえした事がない。 真面目でバレー一筋の大地らしくて、そういうトコも好きなんだけど、そこまでオレの事好きじゃないのかな？って思う時もあったりするんだ。 もう、付き合って１年以上過ぎてるし、高校生活だってあと１年もないのに。 大地、気が変わったりしないかな。 翌朝の朝練。 いつも元気いっぱいで練習をこなす西谷と、その西谷の尻に完全に敷かれている旭の姿がなかった。 ふたり揃って休みなんて。 何だか嫌な予感がした。 休み時間、気になって旭の教室を覗きに行くと、スマホを見ている旭がいた。 「旭！」 「あっ、スガ。済まん、今朝休んじまって。大地、怒ってただろ？」 オレが教室に入って声を掛けると、旭はスマホを制服のポケットにしまってオレに謝ってきた。 「おう、へなちょこヒゲのくせに朝練サボるなんていい度胸だって言ってたぞ？」 「あぁ、そうだよなぁ……」 話、少し盛っちゃったけど大丈夫だべ。 オレは旭に心の中で謝ってた。 「んで、どうしたんだよ？体調悪いってメッセージに書いてたけど。放課後は出られるの？」 「ん、あぁ、放課後は大丈夫だと思う。西谷ももう大丈夫みたいだから」 「西谷？」 「あぁっ、済まん、違うんだ、あの、えっと……」 怪しい。 明らかに西谷と何かあっただろ。 もしかして……。 「まさか、西谷と……」 聞こうとしたら、始業のチャイムが鳴る。 「後でメッセージ送るよ」 「お、おう……」 アワアワしながら言う旭。 次の休み時間に来たメッセージには、 『西谷に誘われて、断れなくて、抱いてしまいました。それで今朝、西谷が動けなかったから朝練休みました』 と書かれていて、謝っているような顔文字が文末につけられていた。 旭のヤツ、裏切ったな。 俺も卒業するまでは西谷とえっちしないって話してたのに、ケンカして仲直りできたからか知んないけどしちゃうなんて。 どんだけ理性なくなるの早いんだよ。 『野生か？このヒゲゴリラ！』 怒りのままに返信しちゃうオレ。 旭のバカ。 いくら大好きな西谷に誘われたからって自分貫かなきゃダメじゃん。 何だよ。 付き合ったのだってオレらより後だったのに、先越された感じがしてめちゃめちゃ凹む。 『ごめんな、スガ。でも、大地もお前が誘ってきたら絶対断らないと思うよ。俺がそうだったから』 いつも旭に話を聞いてもらって、その度に励ましてもらって、オレも旭が西谷との事でいい事があったら一緒に喜んだし、凹んでたら励ましたりしてた。 だからこそ、余計に羨ましく感じてしまった。 ……やるしかないのかな。 でも、大地に拒否されたら立ち直れないかも。 そう思うと、微妙ではあるけど今のまま仲良くいる方がいい気もする。 迷った挙句、オレは今まで通りに過ごして、大地から言ってもらうのを待つ事にしようって思った。 それからしばらくしたある日の部活の後。 鍵当番はオレで、大地とは一緒に帰る事にしてたからふたりで汗でベチャベチャになったＴシャツを変えるためにみんなが帰った後、部室で着替えていた。 大地って、オレとあまり変わらない身長だけど肩幅広くて全体的にガッシリしてて胸板厚くて。 そんな大地の身体がカッコよくてめちゃめちゃ好きだ。 いつかこの身体に抱かれたい……って思ってるけど、本当にそんな時は来るのかな。 「澤村、明日の試合の事で話があるから着替えたら体育館まで来てくれ」 「あ、はい！分かりました！」 着替え終わった頃、烏養さんが入口からこう声を掛けてくる。 「スガ、悪い！ここで待っててくれるか？」 「おう！勉強でもして待ってるよ。行ってらっしゃい！」 大地は着替えもそのままで、慌ててノートと筆記用具を持って部室を出ていく。 「大地、Ｔシャツもしまわないで行っちゃって……」 床に投げっぱなしになっている大地のＴシャツを拾う。 みんなの前では見せないけど、オレだけにはこういうちょっとガサツなトコ、見せてくれるんだよな。 「……」 オレ、それを思わず抱きしめて、その匂いを思い切り嗅いでしまった。 大地の匂い。 あのカッコイイ身体から流れた汗の匂い。 すごく、すごくいい匂いがして、興奮してくる。 「だいち……」 少しだけ。 少しだけならいいよな。 ロッカーを背にして座ると、オレは大地のＴシャツを顔にかけ、履いていた衣服を全部脱いでいた。 『スガ、好きだ。お前を抱きたい』 「んん……っ……！」 こうしていると、大地に抱きしめられてる気分になる。 自分の手を大地のだと思って、勃ちあがりつつあるモノに触れた。 『スガ……ここがいいのか……？』 「はう……っ、うん、大地、もっとして……っ……」 ゆっくりと扱いてるうちにオレのは濡れてくる。 溢れてきた液を指に絡めて、自分ではよく見えないトコロを撫でた。 「あぁっ、だいちぃ……っ……！」 『ちゃんと慣らさないとな』 撫でているうちに入口が解れていって、指が少しずつ入っていく。 「んぅっ……んぁぁっ……！」 大地の指だったら、もっと太くてゴツゴツしてて、気持ち良いのかな。 オレの指２本で大地の指の１本分かな。 そんな事を考えながら、一番イイ場所に指を進めていく。 「っあ……あんっ、ソコ……だめ……っ……！」 『スガ、駄目じゃないんだろ……？』 「や……あんっ、だいちぃ……っ！」 上の方にあるソコに指が触れるとめちゃくちゃ気持ち良くて何も考えられなくなっていく。 「だいち……イクっ、イッちゃう……っ……！」 妄想の中で、オレは大地に抱きしめられながらイッてた。 「はぁ……っ……」 気持ち良過ぎて今すぐ身体が動かせない。 そんな時に部室のドアが開く音がした。 「スガ、お待たせ……」 大地の声。 あぁ、オレ、何て姿でいるんだろう。 大地、オレのこんな姿見たら嫌いになっちゃうのかな。 「……な、何してんだよ、それ、俺のＴシャツだよな？こんな汗臭いの被って……」 焦ってる感じの声の大地。 オレはＴシャツを奪われて、イッたばかりの顔を大地に見られてた。 「……汗臭いから興奮したんだ……」 恥ずかしい。 恥ずかしいけど、ホントの事だ。 　 「大地はそんな気全然ないと思うけど、オレは大地とえっちな事、したい……」 今まで言えてなかった想いを口にすると、目の前の大地はオレの言葉に真っ赤になっていく。 「お……俺だってお前の事、抱きたいって思ってる！お前の事、大好きだから俺だけのものにしてぇよ！」 「だいち……」 そう言って、大地はオレを抱きしめてくれた。 「ずっと思ってた。でも、俺こんな気持ち初めてだし、その……そういう事もした事もないから、もしお前を傷つけて、試合に出られなくなったりしたらと思うと、引退するまでは我慢しようって思ったんだ。それがお前を傷つけていたんだな。ごめんな……」 大地の心臓がドキドキしてるのが伝わってくる。 頭を撫でてくれるあったかくて大きな手。 撫でられてるだけですごく気持ち良い。 「スガ、俺はお前が好きだ。誰にも渡したくない」 「オレも大地の事、大好き……」 頭を撫でていてくれた手がオレの後頭部に下りて、大地の方に引き寄せる。 唇が自然に触れ合って、それから大地は何度も啄むようなキスをしてくれた。 嬉しい。 大地から本音を言ってもらえて、キスしてもらえて。 「ん……ふぅ……っ……」 それから大地に苦しいくらい抱きしめられながら舌を絡めあう。 大地も荒い呼吸をしてて、それがまたカッコよくて、オレはドキドキさせられた。 「スガ……大丈夫か？」 「ん……すごく気持ち良い……」 「俺も気持ち良いよ、ずっとキスしていたくなる……」 「や……んんっ……！」 甘いキスをしながら、大地はオレの下半身に手を伸ばしていた。 「スガの……このままだと下着履けないから綺麗にしないとな……」 「え……だいち……何して……あぁっ……！」 唇が離れると、大地はオレの下半身に唇を近づけ、あちこちに飛び散っていたモノを舐め取りはじめる。 「やだ……っ、大地、汚いからやめろって……」 身体のあちこちをぺろぺろと舐められて、オレは身体を震わせてしまってた。 「汚くねぇよ、スガのだから」 大地はオレのを全部舐め取ると、オレをまた抱きしめてくれた。 「スガ、あのさ…俺もして欲しい……って言ったら嫌か……？」 照れくさそうに言う大地。 抱き合ってる時から大地が興奮してるのを知ってたし、大地にお願いされるなんて嬉しくてたまらなかった。 「嫌な訳ないじゃん。むしろ大地にそう言ってもらえるなんてスゲー嬉しい……」 大地にジャージと下着を脱いでもらうと、オレは大地の下半身の方に顔を近づける。 色もカタチもオレのと全然違う大地のは、オレがふっ、と息を吹きかけただけでびくっ、と震えた。 「無理だったらいいから……」 「無理とかねぇし……」 あぁ。 コレがオレのナカに挿入っちゃうの？ 大地のを含めるだけ口に含みながらそう思うと、胸がキュンキュンする。 「スガの口の中、あったかくて気持ち良いよ……」 大きくてあまりたくさん口には収められてないけど、大地は荒い呼吸を繰り返しながらまたオレの頭を撫でてくれた。 「スガ……これ以上されたら出そうだからもう…」 『お前とひとつになりたい』 そう言って、大地はオレの身体をゆっくりと床に倒す。 「大地……ココ……少し慣らして……」 オレ、恥ずかしかったけど、脚を開いてさっきまで自分で弄っていたトコロが大地に見えるようにした。 「あ、あぁ、分かった……」 大地がゴクリと唾を飲み込む音が聞こえる。 「ひ……っあぁっ……！！」 大地の指がいきなりズル……と挿入ってきて、オレは声を上げてしまってた。 「だ…大丈夫か？スガ」 「あぁっ、だいじょ…ぶ…続けて……」 大地の指。 思ってた以上に太くて、ゴツゴツしてて、気持ち良い。 「ふぁ……あぁっ……！」 「スガ、もう１本挿入れてみてもいいか？」 「ん……っ……いいけど……っあ………」 ２本目も容赦なく挿入ってきて、しかもオレの弱いトコロをダイレクトに突いてきた。 「や……あんっ……！」 「……ここ、もしかして良いのか……？」 「やぁっ、ダメっ、ソコダメぇっ……！」 突かれる度にくぷ、と液体が滴る音がしてくる。 「可愛い、スガ。俺の指で感じてくれて嬉しいよ」 「だいちぃ……っ、やぁ……んんっ…！」 指を動かしながら、大地がキスをしてくれた。 音が出るくらい舌を動かしてるの、わざとなのかな。 気持ち良くて、頭がぼーっとしてくる。 「スガ、悪い。もう我慢出来ない……」 もう少しでイキそう、っていう時に指を引き抜かれて、代わりにもっと堅くて熱いモノが入口に触れる。 「はぁ……あぁぁっ……！」 少しずつ、でも確実に大地の存在を感じた。 指とは比べ物にならないくらいの熱く堅い大地のは、正直痛みもある。 でも、それが大地とひとつになれてるって事だと思うと辛くなかったんだ。 「スガ……辛いよな？ごめんな……」 「へ……平気だから……だから止めないで……」 不安そうにしてる大地に、オレは笑顔を見せた。 「スガ……っ……」 大地はそんなオレの手を握ると、一気に奥まで挿入ってくる。 「あぁっ、だいち……そんなにいきなり……っ……！」 「悪い……っ、スガのナカ、あったかくて気持ち良くて我慢出来ねぇ……っ……！」 そう言って、大地は乱雑なリズムを刻んでオレのナカを出入りし始める。 余裕のない顔をした大地もカッコよくて、その顔を眺めていると幸せな気持ちになった。 「あぁっ、だいちぃ……っ……！」 だんだん痛みよりも気持ち良さが勝ってきて、肌がぶつかる音と、それと一緒に液体が滴る音も聞こえてきて、すごくいやらしい。 「スガっ、好きだ、大好きだ……」 強く手を握りあいながらキスを交わした後、大地はオレの腹に向かって射精した。 オレもほぼ同時に２回目の絶頂を迎えちゃって、部室の床にはふたり分の精が落ちてしまってたんだ。 「明日、大丈夫か？」 「ん……多分……」 それから。 オレはすぐに動けなくて大地に事後処理をしてもらって、大地におんぶしてもらってバス停まで送ってもらってた。 「済まん、お前が想像してた以上に可愛くて気持ちが抑えられなかった」 「もういいって。誘ったのオレだし」 大地の広い背中、気持ち良くてずっとこのままくっついていたい。 「俺……卒業するまで清い関係でいようって言ったけど、もし、お前が嫌じゃなかったらまたお前の事抱きたいな……」 「大地……」 バス停のベンチにオレを降ろすと、大地は周りを気にしながら言ってくれる。 「いつでもいいよ…」 少しだけ顔を紅くしてる大地に、オレは嬉しくなってキスをしたんだ。