6 / 137
第6話 衝撃的なシーン1
放課後、僕と学は駅近くのハンバーガーショップの窓際でハンバーガーとポテトフライをパクついていた。
ポテトフライの最後の一本に手を伸ばそうとしたとき、学が声を上げた。
「おい、見ろよ」
「何?」
学が見やる方へ視線を送ると、そこには律の姿があった。
人混みの中でもその姿は際立って目立つ。
それに律は一人ではなかった。隣に綺麗な女の子を連れている。
制服から見て律と同じG高の生徒のようだ。
女の子は律の腕に自分の腕を絡ませ、うっとりとした目で彼のことを見つめている。
律もまた楽しそうに笑っている。昨日家で見せてたのとは違う余所行きっぽい笑みだったが、秀麗なことには違いない。
正直女の子よりも律の方が数倍綺麗だった。
前の席で学がうらやまし気な声を上げる。
「あの女の子めっちゃ綺麗だなー。いいよなー、G高は共学で。おまけに佐藤律くらいのイケメンとなったら、女の子にも不自由しないだろうし。それに比べて俺たちは男子校で……放課後こうしてハンバーガーを食べる相手も……」
学は僕を見て、今度はあからさまに溜息をついた。
親友の態度に少々気を悪くして、僕が新しい自宅へ帰って来ると、玄関には律の靴と女の子のものと思われる靴が仲良く並んでいた。
どうやら律は先に家へと帰って来ているようだ。
きっとハンバーガーショップの窓から見かけた美少女と一緒なのだろう。
キッチンへ入ると、母さんが夕食の支度をしていた。
再婚を気に、仕事を辞め、専業主婦になった母さんは料理好きの腕を発揮できるとばかりに楽しそうだ。
「あら、陽くん、おかえりなさい。ちょうどよかったわ。これ律くんの部屋へ持って行ってあげてちょうだい」
そう言って母さんが指さすのはケーキと紅茶がのったトレイだ。
「えー? なんで僕が……」
「私は料理の準備で手が離せないのよ。ほら早く持って行って。ちゃんとノックするのよ」
「分かってるよ」
僕は口の中でブツブツ文句を言いながらも母さんに言われた通りにトレイを手にした。
律の部屋の前に立ち、二回ノックをしたが返事がない。
微かに音楽の音が漏れ聞こえて来るので、その音に紛れて聞こえないのかもしれない。
「律……くん、お茶持って来たんだけど……開けるよ?」
僕はもう一度、少し強めにノックをしてからおもむろにドアを開けた。
次の瞬間、僕の目に飛び込んで来たのは、ベッドの上で抱き合う律と女の子の姿。
ともだちにシェアしよう!