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【ただ、真っ直ぐに貴方のことを愛してる。 それだけ……知ってて欲しいだけ】 「「「篠塚(しのずか)先生っ、こんにちはー!」」」 「あぁ、こんにちは。みんな今日も元気だね」 小児病棟の一室。 カラリと扉から入ってきた先生に、みんなで挨拶する。 ひとりひとりのベッドを回っては、しゃがんでしっかり目線を合わせてくれる先生。 かっこよくて優しくて、いつもみんなの人気者だ。 (本当、と変わってない……) 「(りん)くんも、元気?」 ベッドに座る僕に合わせて目の前でしゃがんでくれた先生に、こくんっと頷く。 「朝ごはんもちゃんと全部食べれた?」 こくんっ 「クスッ、そうか。よしよし、頑張ってるね」 大きな手が、優しく僕の頭をかき混ぜてくれた。 「あ、凛くんだけずるい!先生わたしも!」 「おれもおれもー!」 「はいはいしてあげるから。ちゃんとお利口さんしてベッドの上にいること」 「「はぁーい!!」」 クスクス笑いながら他の子の元に向かう背中を、目で追う。 背丈も、知ってる時とまるで変わらない。 暖かい声も、優しくていつだって真っ直ぐな瞳も、綺麗な手も……全部全部。 (〝シルウィズ〟…様……) ーー〝あの頃〟と、変わってない。

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