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ーーもうすぐ、月が消えて朝日が昇る。 (僕、本当に泡になるのかな) 誰も居ない屋上でぼうっと空を見上げていると、ポコンとシャボン玉の様な泡が現れた。 〝ぇ?〟と呟くと、口からどんどん どんどん 泡が出てき始めて。 (わぁ、本当なんだ) この時代で人間が泡になったらやばいんじゃないのかな。 まぁ、けどさっきまでも魔法が効いてたし、何とかなるのかな。 僕を産んでくれた両親、本当にごめんなさい。 お見舞いに来てくれてたのに、いつも心ここに在らずみたいな態度だったね。 こんな親不孝な子で、ごめんね。 でも、泡になるって事はきっとその辺りもどうにしてくれるんだろうな。 みんなの記憶から、僕が消えるのだろうか? それとも、全く別の子と入れ替わっちゃう? (なんでも……もう、いいけどさ) 願わくば、どうかどうかあの人の心の中には…残しておいてくれないだろうか。 ほんのちょっとの場所でもいい。 隅っこでいいから。 (どうか少しだけ……覚えていてーー) あぁ、なんだかもう眠いや。 身体中ふわふわして、視界がどんどん白くなっていく。 (さよならだね、先生) 最後の最後の この瞬間まで、 やっぱり僕は……貴方のことが好きでしたーーーー 「〝リーシア〟!!」

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