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「へぇ。〝罰ゲーム〟ねぇ」
「は、はぃ……」
ズルズル校庭のベンチまで連れて来られた僕は、あれやこれやと言われる前に素直に全部吐いてしまった。
「ま、どうでもいいけどさ、無理なんじゃないそれ?」
「ぇ、」
「だって俺、もう長いこと笑ってないし。自分の笑った顔なんて俺自身もう忘れてるし」
ど、いうこと……?
チラリと隣を見ても、「ふぁぁ…」と欠伸してる先輩は答える気が無さそう。
「残念だけど諦めなよ。もっと酷い罰ゲーム、頑張ってね」
「そ、そんなぁ……」
ポンポン慰められるように頭を叩かれても、全然嬉しくない。
「先輩、笑わないの勿体ないですよ」
「? 勿体ない……?」
「はい。
だって、こんなにキラキラしてるのに」
お返しとばかりに、背筋を伸ばして先輩の髪に触れた。
ダジャレじゃないけど吉良先輩は本当にキラキラしてる。
髪も、雰囲気も、なんとなくだけれど。
「先輩って、何だか〝ひまわり〟みたいですよね」
「ーーっ、」
先輩の髪の色は、今の季節にぴったりの花を思い出す。
ひまわりみたいなんだから、絶対笑顔もキラキラしてると思うんだけどな。
「って、先輩?」
俯いて動かなくなってしまった先輩の顔を覗き込む。
「……うん、そうだなぁ。気が変わった」
「へ?」
「タイムリミットは夏休み明けの始業式なんでしょ? それまでは、君のその罰ゲームに付き合ってあげるよ」
「えぇっ!? な、なんで……」
「んーただの気まぐれかなぁ、君なんか面白いし。それに女の子たちに夏休みの予定聞かれた時とか答えるの簡単になるし?
まぁ、そんなこんなでよろしくね、〝さっちゃん〟」
「ーーん、〝さっちゃん〟……?」
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