240 / 459

240※

「なにがしたいんだい? 九蔵」 「にゅうぃの、舐めらぃ……」 「んっ? ムフフ、嬉しいが今度にしよう。今の九蔵はイキすぎて痙攣しっぱなしだ。まともに起き上がれやしないだろう?」 「は、っや……あぁ…ぅ……っ」 「イヤイヤをしてもダメだぞ。それに私のは人間より大きいから、キミの奥ゆかしい口じゃ呑み込めないよ。九蔵の口が痛くなってしまう。わかるかい?」 「でも、俺、にゅうい、好き……」 「うっ、破壊力が……!」  口での奉仕を求める九蔵を諭すニューイに、九蔵は好きが溢れて零れた。  好き、好き、ニューイ、好き。  好きだから味わいたい。ニューイばかり自分を食べてズルいじゃないか。  フニャフニャの口調で好きを繰り返し中の肉棒を締めつけるので、擦れ合う粘膜がヌチュ、ズチュ、と音を立てる。 「はっ、油断すると食い散らかしそうだ……困った九蔵め……っ」  そんなメロメロな九蔵に素直な不意打ちを食らったニューイは、クラリと揺らぐ。  そして甘えん坊な九蔵を突き上げながらうぅー、と唸った末に、呆れた笑みを浮かべた。必死のプリンス感である。 「食べられてもいいのかい?」 「んっ……いいよ、食って、にゅぅい……っ俺のこと、ぜんぶ食っていい……っ」 「っし、仕方ないな……! 九蔵のオネダリは全部叶えたいが、そのオネダリを叶えられるのは、ただ一人だけだからね」 「あ、ぁあ……っ」 「だって、キミの全てを食い尽くす悪魔は、私だけ……だろう?」  ──そうだ。もちろん。  ニューイだけがこの体と魂を餌にして、心から九蔵に愛されるのだ。  聖人君子もサンタクロースもいらない。  欲しいのはこの、悪魔だけ。 「愛しているよ、九蔵」  ──俺も愛してるぜ、ニューイ。  スリスリと額を擦りつけて甘えながら、ニューイはシーツの間に両腕を差し込み、九蔵の裸体を離すまいと抱きしめた。  汗ばんだ素肌がピタリと触れ合う。  ニューイは顎を反らせて背をブリッジさせる九蔵の首筋を舐め、印を散らせながら、ゴールドチェーンのネックレスごと鎖骨を柔らかく甘噛みする。  トロトロに蕩けた体は歓喜に戦慄き、溶けた粘膜はきゅうきゅうと縮こまって、奥へ奥へと呑み込んでいく。 「まら、イ、イく……っあぁぁ……っ!」  ずちゅっ、と結合部から淫らな音が聞こえるほど激しく抉られ、腕も上がらない九蔵は泣き声に似た嬌声を上げて絶頂した。  胸を大きく上下させてのたうつ。  繰り返しイかされてヘロヘロだ。  なのにニューイが性気を食べずにいるので、九蔵は全身に快楽を纏って敏感な肢体を犯されていく。 「にゅぅい……にゅぅぃ……」 「大丈夫、ここにいるのだよ。お腹で感じてごらん? 九蔵の中に、いるだろう?」 「ぅ、あ……っにゅ、ぅい……っ」 「だから、離さないでおくれ……」  ビュク、と溢れ出た。  堕ちきった九蔵を抱きしめて囁いたニューイは、九蔵の耳朶を申し訳なさそうにベロリと舐める。  離さないで、と。  なにを気にしているのだろうか。  九蔵は優しい声と顔で辱められることが、ちっとも嫌じゃない。  内臓をかき混ぜられて動物のように喘ぎ精液を垂れ流す行為を、もう止めようと言う気にもならない。 「も、っと……もっとシてぇよ……」 「っ……あぁもう、また惚れた……っ」  九蔵がキツく締めつけながら強請ると、ニューイは息を詰め、困ったように笑う。 「紳士なフリをしてキミに溺れた悪魔()に食い散らかされていても、キミは私を王子様にしてくれるのだなぁ……」  ──キミにはかないっこないよ。  そう言って甘いキスをする王子様に、九蔵は心の中で「どこかの悪魔様が先に溺れさせたからですよ」と反論した。

ともだちにシェアしよう!