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「なにがしたいんだい? 九蔵」
「にゅうぃの、舐めらぃ……」
「んっ? ムフフ、嬉しいが今度にしよう。今の九蔵はイキすぎて痙攣しっぱなしだ。まともに起き上がれやしないだろう?」
「は、っや……あぁ…ぅ……っ」
「イヤイヤをしてもダメだぞ。それに私のは人間より大きいから、キミの奥ゆかしい口じゃ呑み込めないよ。九蔵の口が痛くなってしまう。わかるかい?」
「でも、俺、にゅうい、好き……」
「うっ、破壊力が……!」
口での奉仕を求める九蔵を諭すニューイに、九蔵は好きが溢れて零れた。
好き、好き、ニューイ、好き。
好きだから味わいたい。ニューイばかり自分を食べてズルいじゃないか。
フニャフニャの口調で好きを繰り返し中の肉棒を締めつけるので、擦れ合う粘膜がヌチュ、ズチュ、と音を立てる。
「はっ、油断すると食い散らかしそうだ……困った九蔵め……っ」
そんなメロメロな九蔵に素直な不意打ちを食らったニューイは、クラリと揺らぐ。
そして甘えん坊な九蔵を突き上げながらうぅー、と唸った末に、呆れた笑みを浮かべた。必死のプリンス感である。
「食べられてもいいのかい?」
「んっ……いいよ、食って、にゅぅい……っ俺のこと、ぜんぶ食っていい……っ」
「っし、仕方ないな……! 九蔵のオネダリは全部叶えたいが、そのオネダリを叶えられるのは、ただ一人だけだからね」
「あ、ぁあ……っ」
「だって、キミの全てを食い尽くす悪魔は、私だけ……だろう?」
──そうだ。もちろん。
ニューイだけがこの体と魂を餌にして、心から九蔵に愛されるのだ。
聖人君子もサンタクロースもいらない。
欲しいのはこの、悪魔だけ。
「愛しているよ、九蔵」
──俺も愛してるぜ、ニューイ。
スリスリと額を擦りつけて甘えながら、ニューイはシーツの間に両腕を差し込み、九蔵の裸体を離すまいと抱きしめた。
汗ばんだ素肌がピタリと触れ合う。
ニューイは顎を反らせて背をブリッジさせる九蔵の首筋を舐め、印を散らせながら、ゴールドチェーンのネックレスごと鎖骨を柔らかく甘噛みする。
トロトロに蕩けた体は歓喜に戦慄き、溶けた粘膜はきゅうきゅうと縮こまって、奥へ奥へと呑み込んでいく。
「まら、イ、イく……っあぁぁ……っ!」
ずちゅっ、と結合部から淫らな音が聞こえるほど激しく抉られ、腕も上がらない九蔵は泣き声に似た嬌声を上げて絶頂した。
胸を大きく上下させてのたうつ。
繰り返しイかされてヘロヘロだ。
なのにニューイが性気を食べずにいるので、九蔵は全身に快楽を纏って敏感な肢体を犯されていく。
「にゅぅい……にゅぅぃ……」
「大丈夫、ここにいるのだよ。お腹で感じてごらん? 九蔵の中に、いるだろう?」
「ぅ、あ……っにゅ、ぅい……っ」
「だから、離さないでおくれ……」
ビュク、と溢れ出た。
堕ちきった九蔵を抱きしめて囁いたニューイは、九蔵の耳朶を申し訳なさそうにベロリと舐める。
離さないで、と。
なにを気にしているのだろうか。
九蔵は優しい声と顔で辱められることが、ちっとも嫌じゃない。
内臓をかき混ぜられて動物のように喘ぎ精液を垂れ流す行為を、もう止めようと言う気にもならない。
「も、っと……もっとシてぇよ……」
「っ……あぁもう、また惚れた……っ」
九蔵がキツく締めつけながら強請ると、ニューイは息を詰め、困ったように笑う。
「紳士なフリをしてキミに溺れた悪魔 に食い散らかされていても、キミは私を王子様にしてくれるのだなぁ……」
──キミにはかないっこないよ。
そう言って甘いキスをする王子様に、九蔵は心の中で「どこかの悪魔様が先に溺れさせたからですよ」と反論した。
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