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Prolog

よくある話ーーだと思う。  森で狩りをしていた貴族の男が道に迷い、森番の娘と一夜をともにした。その一夜の過ちで産まれたのが僕ーー私だ。  最初こそ森で暮らしていた私は、五歳の夏に母を亡くし、父にあたる貴族の男ーーエルディス伯爵に引き取られた。  父は私を『息子』として受け入れてくれたがーー当然問題になるのは『跡取り』の事だ。  貴族にはよくある事らしいが、父には正妻がおり、私と同い年の息子もいる。普通ならば、母が貴族ではない私は、跡取りにはなれない。  けれど正妻との子ーー私の兄は体が弱く、時々寝込むらしい。だから正妻は、私が『跡継ぎの椅子を狙っている』と思い込んでいる。  気が狂わんばかりの正妻に、跡を継ぐ意思が無い事を示すにはどうすれば良いかーー

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