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第45話「急く」

「あっ、待って、あっ」 穴に入った指の第一関節を中で動かし、藤崎は目の前で跳ねる義人の腰を眺め、視界の下の方で腰が跳ねるたびにぷるんぷるんと揺れる勃起した彼の性器に右手を伸ばした。 義人は穴の気持ちよさに負けて藤崎の性器から口を離し、それに頬を擦りながら身体を伸ばし、激しく呼吸している。 「どうする?」 「や、め、ないで」 あまりにも可愛らしい懇願だった。 「久遠、やめな、っん、でえ、っ、もっとして、奥、奥までっ」 義人の掠れた声にニッと口角を吊り上げると、藤崎は一度穴を舐め回して唾液をつけてから、滑りの良くなったそこに一気に指を押し込んでいく。 「アッ、」 つぷぷぷぷ 「んあッ、アッ!ダメ、気持ちい、んんんっ!!」 ぬちゅ、ぬちゅ、と出し入れが始まり、義人の腹の裏を撫でるように指が折り曲げられると、余計に甘ったるい声が上がる。 「久遠、久遠、く、あ、久遠んっ」 「なに?」 「イクのやだ、久遠の入れて、これ、こっちが欲しい、ぁンンッ」 無意識に腰を揺らして指を咥え込みながら、義人は顔の横にある藤崎の性器を掴み、力の入らない手で不器用にそれを扱く。 「んっ、、じゃあちゅーからちゃんとしよ」 「するっ、あんっ!する、」 ちゅぽん、と指が穴から出ていった。 義人が息を整えながらぺたんとベッドに座り込み、藤崎は勃起したままのそれをボクサーパンツをの中に終い、さっさとスウェットは脱ぎ捨てた。 「電気このままでいい?」 「いい」 早く、と言いたげに藤崎があぐらをかいて座った膝の上に義人が跨る。 いつもなら消せ消せとうるさい明かりをつけたまま、義人の太ももをサラサラと撫でて彼を見上げる藤崎。 揺れる茶色の瞳が愛しくなって、義人は目の前の彼の頬を両手で包み、ちゅ、と触れるだけのキスをした。 「可愛い。どしたの?積極的」 「早くシたい」 お互いに夢中だった。 (溶け合えたらいいのに) (1個になりたい) そんな事をそれぞれ考えているけれど口には出さない。 ちゅ、ちゅ、と唇を撫で合うようなキスを繰り返し、徐々に深く、奪い合うような激しさに変わる。 「っん、はあ、久遠、んっ、ん」 撫でられ続ける太ももから、ザワザワと肌の粟立ちが全身に広がっていく。 義人は無意識に藤崎の膝の上でゆるゆると腰を振った。それは我慢汁が先端から溢れて下着にシミを作りながら勃起している藤崎のそこに擦れた。 「久遠、」 「ん?」 吸い付いていた唇が離れたのを見計らって、義人は藤崎の目を見つめて動きを止めた。 「脱がせて」 扇情的な視線に、藤崎は太ももを撫でていた手を義人の足の付け根に滑らせ、浮き出た骨を撫でててから、ゆっくりと彼のパーカーの裾を掴んで持ち上げる。 ちゅ、ともう一度キスをしてからパーカーから頭を抜かせて片腕ずつ丁寧に引き抜いた。 ぷるん、と勃起したそこを露わにしたまま、義人は自分の下っ腹を撫でて藤崎を見つめ、今度は藤崎のパーカーに彼が手を掛けた。 「可愛い、義人」 「しつこい、、」 嬉しいくせにそう言い返し、スルスルと藤崎の着ているパーカーの裾を持ち上げ、腕を上げた藤崎の顔だけを服から抜いて出す。 「腕も」 「自分で脱げ」 「何でいじわるするの」 抜かれない袖とひっくり返ったパーカーの布が邪魔で義人に手が伸ばせない。 彼はそれを面白そうに見つめながら、拘束されたように自由にできない藤崎の腕を抑えてゆっくりとキスをした。 「好きだよ、義人」 「うん」 ズル、と袖から藤崎の腕を引き抜き、彼の首に腕を回す。 「俺も久遠が好きだよ」 枕元に転がしていたローションのボトルを引き寄せ、藤崎はそれを身体の近くに放り、義人の腰を抱いて背中を支え、ゆっくりと毛布の上に押し倒していく。 義人の上に覆い被さり何度も角度を変えてキスをして、それが終わると歯形のついた乳首に吸い付いた。 「あ、っん」 ゆっくりとした刺激に応えるように義人は小さく甘い声を漏らす。 藤崎の右手が吸い付いていない方の胸を触り、乳首を執拗にこね回してはじき、義人の反応を楽しむように肌をざわつかせていく。 「後ろ、して」 「ん、待ってね」 身体を起こして手繰り寄せたボトルをきゅぽん、と音を立てて蓋を開け、とろりとした液体を左手に垂らしてしばらく体温で温める。 義人の広げた脚の間にある立ち上がった性器にそれを絡ませてから、後ろの穴に残りを塗りつけ、左手の中指をもう一度穴にあてがった。 「力抜いて」 「ンンッ、あっ、あっ!」 後ろの穴に少しずつ指を押し込みながら、藤崎はローションを絡ませてぐちゃぐちゃになった義人の性器を右手でゆるゆると扱き始める。 指はすぐに中に広がったヒダを解し、前立腺を擦り上げるたびに義人から声が上がった。 「んー、、ごめんここ痛い。入れていい?」 「っう、はあ、はあっ、んんっ」 コクコクと何度も頷く義人を見て藤崎はボクサーパンツを脱ぎ捨てる。 「待って、ゴムつけるから」 「つ、つけないで」 「え?」 ローションと同じように枕元に放って置いたコンドームの袋を破いたが、義人はそれを嫌がり身を捩った。 「ナマで、されたから」 上書きして。 と、視線で彼に訴えた。 「、、、一回だけだよ」 「うん」 藤崎はあまり義人の身体に負担を掛ける事をしない。 付き合うようになり、暫くしてからは中の処理の大変さも考えてセックスはゴムを付けるようにしていた。 袋を枕の上にポイと置き、何回か義人の中を入れたままの指で掻き回して解し直し、すぐに藤崎のそれが入り口にあてられた。 「っ、、」 ビクッ、と一瞬身体が揺れる。 まさかとは思ったがほんの一瞬だけ、藤崎を裏切ったあの瞬間が義人の脳裏をかすって行った。 「入れるよ」 「あ、ぁあッ!」 ぐう、と肉の壁が広げられて、藤崎の硬くなったそれがゆっくりと入り口に入る。 「ッッ、ん、ぐっ」 覆い被さった藤崎の顔を見上げると、愛しくて胸が苦しくなった。 (早く、) 脚を浮かせて藤崎の身体に絡み付かせ、グッと自分の方へ引き寄せる。 「早く、久遠」 「焦らないで。痛くしたくない」 絡み付いている義人の脚に抵抗して、藤崎はゆっくりゆっくりと腰を進めた。 「早くっ、んっ、早く、」 「義人、ゆっくりにしよ。ね」 言い聞かせるけれど、義人は聞いていない。 グングンと脚に力を入れて挿入を促し、藤崎に向かって腕を伸ばした。 「んーっ、早く、うっ、、早く来て、ンッ」 「どうしたの」 急かす声があまりにもしつこい。 違和感を感じながら義人に応えて彼の細い身体に覆い被さり、藤崎は舌を絡めてキスをしながら自分のそれを穴に全て押し入れた。 「うううっ!あ、はっ、はあっ、入っ、た?」 「入ったよ」 「んっ、動いて、」 「義人」 「動いて、早く、ぁあっ、あんっ」 「義人焦らないで」 自分から腰を振り出す義人の腰を掴み、藤崎はゆっくりと、小さく優しく中をえぐり始める。 「あっ、あっ、違う、久遠もっと、」 「んー?」 ズリ、ズリ、と藤崎のそれが義人の中で動くと堪らない快感がお互いの腰を突き抜けていく。 「んんんっ、違うぅッ、早く、ッ!」 気持ちの良さに力いっぱいに毛布を掴んで引っ張りながら、義人は焦ったい感覚が鬱陶しくて更に藤崎を急かした。 「早く動けッ、足んない、もっと、」 「義人」 「い、た、ぁあっ、っう、痛くして、お願い、はあっ、痛くしてッ」 「、、、」 そう言った途端、ピタリと藤崎の動きが止まった。

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