1 / 77
第1話
リク、カイ、ソラ。
3人は3つ子だ。17歳、高2。
栗色の髪とアーモンドアイの可愛らしい瞳、少しアヒル口な唇。なかなか美形である。
外見で見分けがつくとしたら、
リクには涙ボクロがある。
カイには口元にホクロがある。
ソラには顔にはホクロがない。
以上。
あとは本編でお分かりいただけるであろうか。
「俺、好きな人できたかも」
「まぢ!?俺も」
「....」
3人は未だに実家の同じ部屋に住んでいる。
「どんな人?」
カイがリクに尋ねる。
「んー...カッコいい、優しそう」
「ソラは?いるの?」
「...どうだろう」
ソラは口下手なのか無口なのか。
「会いに行きたいなあ、会いに行こうかなあ」
「行っちゃいますか!リクの好きな人も見たいし!」
3人でリクの好きな人を見に行く事になった。
3人が連れ立って歩くとそれは目立つ。
何しろ、外見は3人とも瓜二つ...じゃない、瓜三つなのだから。
リクを先頭に3人は近所のコンビニに辿り着いた。
3人は物陰に隠れる。
「いたいたあの人!」
リクが指差した先...大学生だろう店員が満面な笑顔で接客中だ。
「リク...まさかあの人!?」
「そうだよ、イケメンでしょ」
「俺もなんだけど」
「俺もって?」
「俺が好きな人もあの人なの!」
リクとカイは、
「またかよー!!!」
と叫んだ。
3人は食べ物の好みもほとんど同じなので、奪い合いになる事が多い。
「いらっしゃいませー、あー、3つ子ちゃん」
長身で黒髪、笑顔があどけなくて可愛い爽やかな青年だ。
彼は3人を知っている。
3人は近所でも可愛い3つ子だと昔から有名人なのだ。
「肉まんください」
「肉まん3つ?」
「はい」
それぞれがポケットから110円を取り出しレジのカウンターに置いた。
「はい、肉まん3つ」
笑顔で3人に3つの肉まんの入ったビニール袋を手渡す。
「あ、そのままでいいです」
カイが言うと3人は店の外に座り並んで食べた。
「まさかリクと同じ人だなんて」
「名前知ってる?」
「見た見た!名札に古賀、てあった。下の名前、なんだろう」
リクがカイに話しているとカイがふふんと鼻で笑った。
「恭一、て言うんだって」
「まさか話したの!?」
「まあね」
「ずるいー!」
ソラだけは至って無言で肉まんを頬張っていた、と、突然。
「喉、乾いた。なんか飲み物、買ってくる」
「ソラだけずるいぞ、俺も行く!」
「俺も!」
そうして3人は再び店内に戻りコーラを買い、また店の外に座ってお喋り。
「くーっ、炭酸がたまんね!」
「見た見た!?恭一さん!て言ったら照れてた、可愛かったあ!」
「...」
「でもどうやって落とすよ?今回は食いもんじゃないし、親が言うみたいに三等分はできないぞ」
リクが言い、しばらく考えた後。
「そうだ!あの人に決めて貰おう」
「どうやって?」
とカイ。
「...それぞれ告って、決めてもらう」
珍しくソラからの提案だ。
「決めてもらう、て同じ顔なのに?」
「...中身は違う」
「確かにそれはそうだけど」
リクとカイの2人が口をへの字にし、うーん、と唸る。
「とりあえず、それぞれ、待ったなしだ!わかったな!」
リクは立ち上がると2人を指差した。
ともだちにシェアしよう!