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第21話

打ち上げの後、ユウは久しぶりにダイチと住んでいた1kの部屋にいる。 当たり前だが、相変わらず、古くて狭い。 だが、とても懐かしく、今、自分の住んでいる真新しい1DKの部屋より居心地が良かった。 思い切り、懐かしい空気を吸い込んだ。 灰皿を挟んで座り、互いのジッポで火を付け合い、タバコを吸った。 「ビールあるけど、飲むか?」 「うん」 ダイチが片手に2本のビールを持ち、1本をユウに差し出した。 同時に2人はビールを開け、喉を鳴らした。 暫くして、ユウから、 「売り専、もう辞めない?」 切り出した。 「そうだな」 2人はスマホを取り出し、順番に店に電話し、辞めることを報告した。 デビューするかもしれない、とは言わなかった。 2人で一枚の名刺を見つめた。 「不思議だね。久しぶりに歌ったらさ、すげー、気持ちよかった」 ダイチの持つ名刺に視線を落としたまま、ユウが無邪気に笑う。 「いつかデカい箱でやりてえな、ライブ」 「うん」 どちらからともなく抱き合い、キスを交わす。 シングルサイズのベッドで抱かれ、ユウはダイチにくっついた。 「落ちつく...」 呟くユウに、 「俺も」 ユウの黒く艶やかな髪にダイチはキスした。 自分と同じシャンプーの香りがした。 ユウもダイチの頬に口付けた。

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