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はじめまして。

「あー、おにぃのご飯もまたしばらく食べれなくなるのか~」 「大袈裟。 土日帰ってくれば良いだろ?」 咲紀のリクエストで、昼食はオムライスを作った。今日のは定番の卵が薄焼きタイプのオムライス。中はもちろんチキンライス。 スープは簡単に、コンソメスープ。このチープな感じがたまに食べたくなるらしい。 まぁ・・・、咲紀の通っている女子中学校も両家のお嬢様が通っているので、出される食事も一流のシェフが作ったものらしい・・・。 「まぁ・・・、あと1ヶ月くらいで夏休みだし我慢するよ~」 寮の外出申請出すの、結構面倒なんだよね。 「・・・そっか。って、もう夏休みか~。早いな。」 「早いよ・・・。あ、あいつの別荘行く予定!忘れないでね!!」 二人で、世間話をしながら駅の喫茶店へ着くと、しばらくすると相馬が入ってきた。 昨日、見かけたスーツ姿と違い今日はシンプルなカットソーとパンツ。それですら様になっていた。入ってくる途中の席の女の子達はもちろん中には男性までもが目を奪われていた・・・。 「ごめん。待たせたかな?」 ニッコリと微笑まれ、思わず固まってしまった。 !! み、見た事の無い笑顔きたーーーーーーーー!!!!!!!!! 隣に座ってた咲紀も固まっていた。 「座っても??」 「・・・え、ああ。 呼び出して悪いな。」 三人揃った所で、ウエイトレスが注文を聞きに来た。 三人ともケーキセットで飲み物は紅茶だった。 「あ、あの。初めまして。佐々木咲紀と言います。」 咲紀が、相馬の方に身体ごと向けて挨拶をした。 「先日は、兄を家まで送っていただいてありがとうございました。」 ぺこり 咲紀が頭を下げると、それをすぐに上げる様に相馬は言う。 「ああ、頭は上げてくれないかな? えっと、僕は・・・・」 「あ、お名前は知っております。」 「そっか。よろしくね。それに、つば・・お兄さんとは同じクラスだからね。当然の事をしたまでだよ。」 「それでも、おかげさまで、兄の足もこの土日痛む事も無く過ごせましたので。」 ・・・なんだろ、咲紀と相馬のやり取りを隣で聞いてるだけなのに、背中がムズムズする・・・。なんでだ?? なんか、こう品定めをお互いしている様なそんな感じがする。 「・・・ちょっと、オレ、トイレ行ってくる。」 思わず、二人を残してトイレへ逃げてしまった。 「・・・、昨日もありがとうございました。おかげで、並ぶ事無く食事出来ました。」 「・・・なんの事かな?」 「あのホテルも、青桐グループの持ち物だったので・・・てっきり・・・。」 二人の間に、お互いを探るような空気が流れた。 がっちゃん!!  「あ、あの、失礼いたしました!! 」 奥の方で、こちらにティーセットを運んで来ようとしたウエイトレスが、カップを落としてしまった。 「あの、良かったらこれ。」 空気を先に変えたのは、咲紀だった。 「・・・? 開けても?」 小さな紙袋から出て来たのは、あのゆるキャラのストラップだった。 それとメモが一枚。何かのパスワードと咲紀のメールアドレスが書かれていた。 一瞬、眉をひそめてしまい。やっぱりかと内心思ったが・・・ 咲紀の顔を見ると、自分に向けられている顔が今まで向けられていた顔とは少し違う事に引っかかった。 「・・・、これは? この事はお兄さんは知ってるのかな?」 「あ、誤解しないでください。 私のメアドは、緊急用です。 私は、おにぃが幸せになるのが一番なんで・・・。 貴方がそばにいるのであれば、何かあった時はあなたの所為だと思うので。」 にっこり 「・・・なるほど。君は、俺の味方と思って良いのかな?」 さっきまでの余所行きの顔を引っ込め、素の相馬に近い顔になった。 「それは、貴方次第だと思います。」 なるほど。この妹は、一筋縄では行かないという事か・・・。 御礼と言いながら、この俺を品定めか。面白い。 「レストラン、気に入って貰えてなら俺の名前を出すと良い。」 「ありがとうございます。」 ニッコリとお互い微笑んだ。  其処に、さっきカップを落としてしまったウエイトレスが、ティーセットとケーキをワゴンにのせ運んできた。翼もそのタイミングで席に戻ってきた。 ・・・??あれ、なんか空気が変わってる。 「あ、おにぃ! もう、二人っきりにしないでよ!青桐さん、カッコイイから緊張するじゃん!!」 ・・・変わり過ぎてて逆に怖いんだけど・・・。 「え・・あ、うん。ごめん。」 置かれてた、カップに口をつける。 「あ、おにぃにもこれあげる~。」 相馬にあげたのと同じ小さな紙袋を、咲紀は翼にも手渡した。 「ん? ストラップ?」 「昨日のゆるキャラストラップ。 携帯につけておきなよ。」 そう言われ、携帯を取り出してその場でつけ始めた 「咲紀、サンキュ~。」 翼が嬉しそうに、ストラップを眺めてる横で咲紀がにやにやしてるのが目に入った・・・。 さっきのパスワードは、もしかして・・・・。 その事に思い当たり、思わず咲紀を見てしまう。にやりと微笑まれた。 なるほど、彼女は敵に回したくは無いな・・・。

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