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6.天使さまの話とか、部屋に連れ込まれたりとか
この世界には「天使」という現象がある。これは全ての者がなる可能性がある現象だ。
30歳を迎えた際、童貞のままだと「天使」となると言われている。
「天使」は男の精を受け入れないと衰弱死してしまうし、それだけでなく身体がものすごく弱くなるらしい。しかもどうやらそれまで使えていた魔法が使えなくなるのだと聞いたことがあった。
その為誰かに庇護されなければ生きていけなくなるので、みな30歳になる前に童貞をなくそうとするのである。一般的に相手がいない者は娼館などで筆おろしをしてもらうものだが、中には規格外のイチモツを持っている者もいて、そういう者は金を積まないと断られてしまうらしい。(金を積んでもだめな場合もあるとか)
ではどうすればいいのか。そこで「天使」の出番である。「天使」は尻穴だけはとても丈夫らしく、どんな大きさのイチモツでも受け入れて感じまくってしまうという。しかも尻穴だけは傷つかないのだとか。そんなバカなと思うがそうなのだというから世の中わからない。
希少ではあるがいないことはない「天使」は、現在王城に王様を含めて三人いるらしい。
一人は王様で、華奢でかわいいと評判だ。だが、1年程前に新たな天使が現れたことで童貞の相手はあまりしていないらしい。あともう一人「天使」がいて、その人は王城の裏の森で木こりをしているらしい。木こりって怪我とか大丈夫なのかと思うが、常に騎士団の者が見守っているので大丈夫なのだそうだ。
さて、リュウが言及した「天使さま」はおそらく王ではなくもう一方 の方だろう。
その方は生まれつき不能で童貞をなくすことができなかったのだそうだ。いろいろ治療などをしてみたがだめで、とうとう「天使」になってしまったと聞いた。恐ろしい話である。
それはさておきリックはリュウの申し出を蹴った。そして夕飯を平らげた後、強引に俺の腕を掴んで自分の部屋に連れて行った。
リックの個室はまだキレイだった。俺はベッドに腰掛けて、きょろきょろと部屋の中を見回しながら聞いてみた。
「なぁ、まだまだ時間はあるけど、その……どうするつもりなんだ?」
「どうするって?」
リックがきょとんとした顔をする。なんか腹が立った。
「童貞、だよ。お前の……その……すっげでかいじゃん……」
どんどん声が小さくなる。どうせ俺のはそんなにでかくないですよーだ。それ以前に超早漏だった。
「わっ!?」
リックが椅子から立って、俺に覆い被さってきた。
「カイエ、僕の童貞もらって」
「……いらない」
そんなでかいの入んない。
「ちゃんとほぐすから~。それに俺魔法いっぱい練習して使えるようになってるから洗浄魔法も使えるし、けっこうお得物件だと思うよ。もちろん回復魔法だって使えるよっ!」
「なんでお前は騎士団に入ったんだっ!?」
「え? 魔法師団の人たちほど魔法は得意じゃないし、それに……騎士団にはカイエがいるじゃん」
魔法がいっぱい使えるなら魔法師団に入るものだと思っていたが、リックは違うらしい。まあるい目に見つめられて、俺はうっと詰まった。
実のところ、抱きたいと思う相手としては理想の顔なのだ。でも早漏だから抱いて幻滅されたら嫌だしとかいろいろ考えてしまう。
「カーイエ」
ちゅ、と口づけられて、びくん、と身体が跳ねた。
「ば、ばかっ……!」
俺すっごく感じやすいんだぞ。
「カイエかわいい。まずはお試しだけでもいいからさー。絶対痛くしないし、ものすごく感じさせてあげるからー」
ちゅ、ちゅと口づけながらリックがそんなことを言い、ゆっくりと俺をベッドに押し倒した。
なんで触れるだけのキスなのにこんなに感じるんだろう。触れられるだけで股間がびくびくしてしまう。
「……やだ、って……」
「そんなこと言わないでよ。僕絶対カイエのこと幸せにするし、一生守るから」
そう言いながらリックは俺のズボンの前をくつろげた。なんだこの早業?
「リ、リック……」
「ちんちんの蜜、舐めたい。舐めさせて」
「やっ、だめっ……ああああんっ!」
言いながら俺自身にちゅっと口づけられて、俺はすぐに出してしまった。ぴゅるぴゅると出た精液をリックがべろべろと舐める。そんなものを舐めるのはやめてほしかった。
「……やっぱり、カイエは僕の運命の人だったんだ。ちょっとしょっぱいけど、おいしいもん」
「……あっ、ああっ……え?」
リックは何を言ってるんだろう。
「まー、巨人族はあんまり「運命の人」って考え方はないんだけどね。基本お嫁さん一人に対して夫が複数いるのが当たり前だから」
「……は?」
そんなの初めて聞いたぞ。
「あ、でも僕の父さんは一人だよ。僕の母さんは人だしね。でも巨人族の性欲はすごいから母さん一人だけじゃ受け止めるのがたいへんだって聞いたな~」
「は? え? なに?」
そんなことセキララに子どもにバラすもんなわけ?
「あ、これはこの間実家行った時に無理矢理聞きだしたことだから、普通はそんな話しないよー」
ちょっとほっとした。
「だからさ、僕が口説くのはカイエだけだし、カイエも僕以外に抱かれちゃだめだよ?」
「……帰る」
「だーめ。最後まではしないけど、僕の愛、たっぷり受け取って」
「いやだああああ!!」
俺より小さくて細いくせにやたらと力の強いリックは、その夜俺を押さえつけていっぱい啼かせたのだった。
もう俺オムコに行けないかも。くすん。
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「天使」については「天使さまの愛で方」を参照してください。
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