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エピローグ(とりあえずみんな殴っておく)

 翌朝は、出刃亀していた奴らを探し出して全員殴っておいた。  結婚しよう、とリックには言われたがそこはまだ保留である。まずは恋人になろうということで話がついた。案の定リックはとてもごねたが、 「急いで結婚しないと俺が誰かに奪われるとでも?」  と聞いたらぐっと詰まった。 「ぜ、絶対リックじゃなきゃだめって言わせてみせる!」  リックが奮起したのでほっておくことにした。恋愛は禁止されているわけではないとはいえ、一応上司に知らせておいた方がいいだろうと、騎士団長に報告しに行った。 「おお! そうなのか、がんばれよ!」  騎士団長に背をばんばん叩かれた。副団長はツンと顎を上げて、 「無事くっついたのですね。でも大浴場は禁止のままですよ」  と無情にも言った。ひどい。 「うん? そういえばリックが大立ち回りをしたとか言っていたか」 「そうなんです。大浴場が壊れるところでした」 「じゃあだめだな。個別で向かう分にはいいが、それだとどっちかが行けないだろう」  はっはっはっと騎士団長が笑う。そんなぁ。俺は恨みがましい目でリックを睨んだ。 「えー……だって好きな人の尻を揉む奴がいたら許せなくない?」  騎士団長と副団長は難しい顔をした。え? そこ真面目に考えるとこ? 「……そうだな、確かに許せないな」 「確かに……殺すかもしれませんね」  だめだこの人たちって思った。  冷静に考えてみたら許せないっていうのはわかるんだけど俺の尻だしなぁ。あれはやりすぎだったんじゃないかって思ってしまうのだ。  一応お世話になった人には報告しておかないとと、医務室のキリーンにもリックと共に挨拶に行った。 「ああ、君か。巨人族の混血だっけ? たいへんだとは思うけど……うまく魔力を使えれば……」 「大丈夫です」  リックが即答した。キリーンはにっこりした。 「なら問題ないね。もし魔力を注ぐことでなにかの症状が出るようならおいで」  なにかの症状ってなんだ。俺はリックをいぶかしげに見た。リックはさあ? と首を傾げた。  その答えは一月後に現れるのだが、俺たちにはまだわかっていなかった。  そして、 「俺、先生んちに引っ越すことにしたから」  隣室のナツが出て行くことになった。夜はほぼキリーンの家にいるらしく、寮に部屋を持っている必要がなくなったそうだ。で、何故かリックがにこにこしながら隣の部屋に引っ越してきた。 「……なんでリックが隣……」 「ナツが引っ越すって聞いたからこの部屋に入れてもらえるように交渉したんだ。ほら、僕たち恋人同士だし!」  なんだその胡散臭い爽やかな笑顔は。  呆れたけど、好き好きー! って毎日言われてついついほだされてしまう。  そうだよな。恋人なんだよな、俺たち。 「で、どっちがお嫁さんなんだ?」  同僚に真顔で聞かれたから思いっきり殴っておいた。 「カイエがお嫁さんだよー!」  とっとと立場をバラしたリックは足蹴にした。 「ほら、リックが上だって言っただろ!」 「くそー! 負けたー!」  賭けをしていたとリュウからタレコミがあったので元締め含めて全員〆て金は没収した。ちなみに元締めは風呂場で俺の尻を揉んだ奴だった。ついでに蹴り飛ばした。  こんなかんじで俺は今も騎士をやっているし、リックは毎日「お嫁さんになって~」と口説いてくる。もちろん夜は一緒に過ごしてて、うん、まぁ……気持ちいい。  敏感なのはすごく嫌だったけど、リックにいっぱい愛されてるからいいことにする。  ふと、娼館で相手をしてくれていたロイの顔が浮かんだ。 「カイエはさ、抱くより抱かれる方がいいと思う」  ってあの時言われてとんでもないって思ったけど、結局そういうことになってしまった。 「カイエー、好きだよ! お嫁さんになって!」 「しつこい!」  俺もちゃんと好きだよ、リック。  俺がそう答えてしまうのも時間の問題のようだった。 Love Love End!

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