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オークション 5
背後から屈強な腕に身体を掴まれる。振り返ると、人の四肢を持った緑色の猪が、俺を人形のように扱い始めた。
「やっ、さわるな……はなせっ、おい!」
俺は必死に抵抗した。だが、鎖が巻かれて腕が動かせず、芋虫のように身体を捩ることしかできない。
今の俺は非力な少年。そんな「オス」の人間を、この化け物たちが捕らえることなど、赤ん坊の手をひねるようなものなんだろう。
抵抗虚しく、人間の何倍もある強靭な体躯は、軽々と俺を抱きかかえた。そして周りの連中に見えるよう身体を正面にさせられると、両脚をパカッと大きく割り開かれた。
「うわああっ!?」
ハッピーベイビーのポーズ。ヨガをやっていたという会社の女の子が、酒の席でそんなのを披露していた。よくもまあ、そんなポーズをやったな。あの時の彼女はベロンベロンの泥酔状態だったからやれたというのはわかっている。でもこんな危機的状況で恥辱以外の何物でもない今の格好をさせられてみろ。しかも男が! ノーパンで!
叫ばずにいられるか!!
「後ろの方、見えますか!? 見えませんね、そうでしょう! なんといっても本日の目玉商品です! お好みの『蕾』であるかどうかはぜひ、競り落とした後でたっぷりとご確認くださいませ!」
マジ、かよ……!
奴隷といっても俺は人間だ。奴らの目当ては俺を使って肉体労働をさせるか、食料として食うか、そのどちらかだろうと予想していた。それならば、アピールするのはこの身体に病気がない点と、その肉づきの良さのはず。
しかしわざわざ、照明を弱めて連中に見せたのは俺の局部……ではなく、その奥にある小さな小さな菊の門。
自身の奥歯が、カタカタと不自然に鳴り始めた。
俺がどういう用途で売られようとしているのか、この時はっきりとわかった。
嫌だ……嫌だ、嫌だ、いやだ!!
それだけは絶対に!!
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